2025年6月 最新改正情報
1)中小企業向けデジタル技術導入促進のための税制優遇措置
2025年6月24日、中小企業が継続的な事業運営・管理のツールとしてデジタル技術を導入することを促進・支援するための税制優遇措置が閣僚理事会で承認されました。
なお、この税制優遇措置は2022年12月31日に失効した勅令第725号(仏暦2564年)の強化版で、以前はコンピュータプログラムに関連する費用のみが税制優遇の対象となり、控除額の上限は10万バーツとされていました。
対象
中小企業(SMES : Small and Medium-sized Enterprises)として認められる会社または法人格を有するパートナーシップが対象となり、会計年度末日時点で払込資本金が500万バーツ以下であり、かつ、商品およびサービスの年間売上高が3,000万バーツ以下である必要があります。
優遇措置
下記の費用については、30万バーツを超えない範囲で実費の100%(二重控除)に相当する金額の法人所得税が免除されます。
◆コンピュータプログラム、ハードウェア、スマートデバイス、またはデジタルサービスを含むサービスの購入、レンタル、または使用(コンピュータは除く)。
※ただ、優遇措置の対象となる製品またはサービスについては、デジタル経済推進庁(DEPA)に登録されている必要があります。
また、企業は、歳入法典に基づいて発布された他の勅令に基づく同様の税制優遇措置を請求してはならず、以下の法律に基づいて免税を受ける活動に機器またはサービスを使用してはなりません。
– 投資促進法(BOI)
– 対象産業の国家競争力強化に関する法律
– 東部経済回廊(EEC)法
※歳入局長が定める規則、手続き、および条件(未発表)を遵守する必要があります。
有効期限
内閣承認の日から2027年12月31日まで
※2025年6月27日現在、まだ官報にて公布されておりません。
参考:対象の定義
◆コンピュータプログラム
エンタープライズソフトウェア、組み込みシステム、ビッグデータ分析ソフトウェア、先端技術を活用したデバイスの制御または接続に使用されるソフトウェアなど、様々な分野で事業管理に使用されるコンピュータ、ハードウェア、またはデバイスの動作を制御するように設計されたプログラムまたは命令セットを意味します。
◆ハードウェア
中央処理装置(CPU)を搭載したコンピュータを意味し、モニター、ディスク、コンソール、テープ、プリンター、プロッター、デジタイザー、スキャナーなどのすべての入出力デバイスおよび周辺機器を含みます。
◆スマートデバイス
Bluetooth、Wi-Fi、5Gネットワークなど、様々な無線プロトコルを介して他のデバイスまたはネットワークに接続し、対話型および自動操作が可能な電子機器を意味します。
◆デジタルサービス
購入者またはサービス受領者と販売者または事業主の間を仲介するプラットフォームベースのソフトウェアサービスを意味します。プラットフォームプロバイダーは、技術開発者または技術を提供する事業主である場合があります。このプラットフォームは、エンドツーエンドのデジタルプロセス管理を網羅します。
2)省エネと再生可能エネルギー利用促進のための税制優遇措置
2025年6月24日、省エネと再生可能エネルギー利用の促進を目的とした以下の2つの主要な税制優遇措置が閣僚理事会で承認されました。
1.省エネのための高効率機器、設備、資材への投資と交換を促進するための税制優遇措置
目的
製造業者、供給業者、および消費者に対し、省エネ製品への投資を奨励し、より高効率な技術へ の移行を促進すること
対象
歳入法典第40条(5)、(6)、(7)、および(8)に基づく課税所得を有する個人納税者、会社または法人格を有するパートナーシップ
優遇措置
対象となる機器または機械の購入または投資にかかる費用は、実際の支払額の1.5倍を控除することができます。
条件
投資は、エネルギー省が発行する高効率省エネラベルまたはエネルギー効率レベル5ラベルの認証を受けた資材、機械、または設備への投資である必要があります。
対象となる設備または資産
対象となる設備または資産は、以下の条件を満たす必要があります。
・タイ国内に所在し、過去に使用されたことがない
・2028年12月31日までに取得され、使用可能である
・当該資産に関連する他の税制優遇措置の対象とならない
・投資促進法または東部経済回廊法に基づき既に法人所得税の免除を受けている事業において使用れていない
※証明として、歳入局の電子タックスインボイスシステム(e-Tax Invoice)を通じて発行されたフルフォーマットのタックスインボイスが必要になります。
有効期限
法律の発効日から2028年12月31日まで
※2025年6月27日現在、まだ官報にて公布されておりません。
2.住宅における屋上太陽光発電システムの設置に対する税制優遇措置
目的
世帯による屋上太陽光発電システムへの投資を促進し、再生可能エネルギーの利用を促進し、電気料金を削減すること
※全国規模で住宅用屋上太陽光発電システムの設置を促進し、総消費量に占める再生可能エネルギーの割合を高めることを目標としています。
対象
自宅に太陽光発電システムを設置する個人居住者
優遇措置
20万バーツ(VAT込み)を超えない範囲で、太陽光発電システム設置への投資に支払った金額を上限として個人所得税の控除を受けることができます。
条件
➀タイプ1の電気使用者(住宅用のみ)であること
②歳入法典第40条(1)~(8)に基づく個人所得税納税者であること(通常のパートナーシップおよび非法人団体を除く)
③設置されたオングリッド太陽光発電システムは、1世帯あたり10キロワットピーク(kWp)を超えていないこと
④添付書類に、屋上太陽光発電システムの購入および設置に関する完全な形式の税務請求書、ならびに系統接続承認などの関連書類があること
有効期限
官報で告示された施行日から2027年12月31日まで
※2025年6月27日現在、まだ官報にて公布されておりません。
3)タイ人が有する外国源泉所得に対する個人所得税免除
2025年5月26日、歳入局長のピンサイ・スラスワディ氏は、外国所得に関する税制を改正する新法案を準備していると明らかにしました。なお、現時点では、この法案は内閣に提出されていませんが、2024年以降に得られた所得を対象とし、2026年1月から3月の納税申告期間に発効する予定です。
改正案の要点は以下の通りです。
◆外国源泉所得を有するタイ人に対し、その所得が2年以内(所得が発生した年またはその翌年)にタイに持ち込まれる場合は、個人所得税を免除する。
◆外国源泉所得が2年を超えてタイに持ち込まれる場合は、通常の個人所得税が適用される。
◆この新規定は、2026年1月から3月納税申告期間から発効する予定で、2024年(仏暦2567年)以降に得られた所得が対象になる。
なお、今回の法改正は、個人が所得をタイに持ち帰り、投資することを奨励するためのインセンティブ措置であるため、タイに(180日以上タイに滞在)居住している個人は、タイに持ち込んだ年の納税申告期間に申告・納税する必要があります。
具体例
A氏が2024年に外国源泉所得を得て、タイに180日以上滞在しなかった場合、その資金をタイに持ち込んでも税金は発生しません。しかし、A氏が2024年に180日以上タイに滞在し、その資金を2025年にタイに持ち込んだ場合は、2025年の納税申告期間(2026年3月まで)に申告・納税する必要があります。
4)暗号資産の売却によるキャピタルゲインに対する個人所得税免除
2025年6月17日、タイをグローバルデジタル資産ハブとして促進するためにデジタル資産(暗号資産またデジタルトークン)の売却によるキャピタルゲインに対する個人所得税を免除する税制優遇措置が承認されました。
対象
個人納税者
※法人投資家は、引き続き法人所得税の計算に含める必要があります。
特典
1.投資トークンの利益分配についての所得税免除
歳入法典第40条(4)(h)に基づき、投資トークンの保有または所有から得られる利益分配または類似の性質を持つその他の利益に対する所得税の免除されます。利益配分またはその他利益を受領する際に源泉所得税15%が差し引かれますが、納税者は、源泉徴収税の還付または税額控除(全額または一部)を請求しない限り、利益分配またはその他の利益を個人所得税(確定税)の計算に含めないことができます。
2.仮想通貨またはデジタルトークンの譲渡益についての所得税免除
仮想通貨またはデジタルトークンの譲渡から得た利益については、評価額が投資額または同一課税年度中に発生した仮想通貨またはデジタルトークンの譲渡損失と同額を超える場合に限り、個人所得税が免除されます。仮想通貨取引所における仮想通貨またはデジタルトークンの譲渡から得た利益と損失のみが財務大臣によって承認されるというこに留意する必要があります (損失から利益を控除できます)。
※認可を受けた仮想通貨取引所での取引のみが対象になります。
対象期間
1.2024年1月1日以降に受領した利益分配またはその他の利益
2.2025年1月1日から2029年12月31日まで(5年間)に受領した譲渡益
5)特別経済区(SEZ)への投資を促進するための法人所得税の減額/官報公布済み
2025年1月15日の閣議で承認された、SEZ内での生産・製造、またサービス提供から生じる収益に対する法人税を20%から10%に引き下げるという優遇措置について、2025年6月5日に官報にて公布されました。これによって2025年6月6日以降に条件を満たした場合は、法人税の優遇を受けれることができます。
詳細は、「2025年1月 タイ会計・税務関連 最新改正情報」の(4)をご覧ください。
6)「近代農業と市場連携による大規模農業のアップグレード」プロジェクトに基づき受領した補助金の法人税免除/官報公布済み
コミュニティ企業促進法に基づきコミュニティ企業として登録された会社または法人格を有するパートナーシップに対し、2021年1月1日から2021年12月31日までの間に「近代農業と市場連携による大規模農業のアップグレード」プロジェクトに基づき受領した補助金に対する法人所得税の免除について、2025年5月27日に官報にて公布されました。
―免責事項―
本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。
また、法令の改正や制度変更等により、本記事の内容が将来において必ずしも適用されない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
なお、本記事の内容の無断転載・無断使用はご遠慮ください。