【タイ洪水特別措置】税務申告・納税期限を2026年12月30日まで延長へ
~法人所得税・VAT・源泉所得税などが対象~
タイ政府は2026年10月20日、洪水被害を受けた企業および個人を支援するため、法人所得税、源泉所得税、付加価値税(VAT)などの申告・納税期限の延長を含む4つの税制支援措置を閣議で承認・確認しました。
今回の措置では、対象となる被災地域の納税者について、2026年9月1日から12月29日までに期限が到来する各種税務申告・納税の期限を、2026年12月30日まで延長する予定です。
また、洪水により損傷した機械設備の交換・修理に伴う輸入関税の免除、住宅・自動車の修繕費に対する個人所得税控除、物品税の申告・納税期限の延長も予定されています。
なお、これらの措置については、関連する財務省告示等の正式な公布および適用条件の確認が必要です。
1. 法人所得税・VAT・源泉所得税などの申告・納税期限の延長
洪水被害により期限内の税務申告や納税が困難となった企業および個人を対象に、各種税務申告・納税期限を延長する措置です。
2026年9月1日から12月29日までに申告・納税期限が到来する以下の税目について、2026年12月30日まで延長する予定です。
| 税目 | 対象申告書 |
| 法人所得税(確定・中間申告) | PND.50、PND.51 |
| 源泉所得税 | PND.1、2、3、53、54 |
| 付加価値税(VAT) | PP.30、PP.36 |
| 特定事業税(SBT) | PT.40 |
| 印紙税 | OS.4、OS.4Kor、OS.4Khor、OS.9 |
| 個人所得税(中間申告) | PND.94 |
※特定事業税については、営利目的等による不動産売却に係る申告・納税は対象外です。
※印紙税については、現金納付による申告・納付のみが対象となります。
主な適用条件
本措置の対象となるのは、以下の条件を満たす納税者です。
- 2026年9月1日から12月29日までの期間に、政府により災害地域または緊急災害支援対象地域として指定された地域に所在すること
- 管轄の歳入局地域事務所から、申告・納税期限の延長申請が提出されていること
- 対象期間中に申告・納税期限が到来すること
なお、本措置は紙による申告だけでなく、インターネットによる電子申告にも適用される予定です。
また、2026年9月1日より前に発生した洪水については、別途延長措置の公布手続が進められています。
実務上の注意点
今回の申告・納税期限の延長は、タイ国内のすべての企業に一律適用されるものではありません。
対象地域や具体的な適用条件を確認する必要があり、正式な告示が公布されるまでは、原則として従来の法定期限に従って申告・納税を行うことが推奨されます。
2. 洪水被害を受けた機械・部品の輸入関税免除
洪水により損傷した機械設備の交換または修理を目的として輸入する機械・部品について、一定の条件を満たす場合に輸入関税を免除する措置です。
主な適用条件
- 対象事業者: 工場法に基づく工場事業者、および一定のホテル・宿泊施設事業者
- 対象地域: 政府により緊急災害支援対象地域として指定された洪水被災地域
- 対象物品: 関税分類第84類に該当する機械、部品、付属設備、工具等
- 物品の条件: 新品であり、洪水被害を受けた設備の交換または修理に使用するもの
- 必要書類: タイ工業団地公社(IEAT)、県工業事務所、地方自治体等が発行する洪水被災証明書
- 適用期限: 2027年3月31日までの予定
本措置の適用には、機械・部品の輸入前に免税申請を行い、承認を受ける必要があります。
なお、輸入VATの免除については、今回の草案には明記されていません。
3. 住宅・自動車の修繕費に対する個人所得税控除
洪水被害を受けた個人の生活再建を支援するため、住宅および自動車の修繕費について、一定額を上限に個人所得税の課税所得から控除する措置です。
| 項目 | 住宅修繕費 | 自動車修繕費 |
| 控除上限額 | 100,000バーツ | 30,000バーツ |
| 対象支出期間 | 2026年5月15日~12月31日 | 同左 |
| 対象費用 | 住宅・建物の修繕費、清掃費、資材購入費等 | 自動車・バイクの修理費、部品購入費等 |
| 対象者 | 所有者、賃借人、使用者 | 所有者、割賦購入者 |
対象となるのは、政府が指定する災害地域または緊急災害支援対象地域で、2026年5月15日から12月31日までに洪水被害を受けた資産です。
住宅と自動車の両方が被災した場合には、要件を満たすことで最大130,000バーツの所得控除が想定されます。
なお、本措置は個人所得税の課税所得から控除する制度であり、修繕費そのものが還付されるものではありません。
4. 物品税の申告・納税期限等の延長
洪水被害を受けた製造業者およびサービス施設運営事業者を対象として、物品税(Excise Tax)に関する申告・納税期限等を延長する措置です。
| 対象手続 | 延長内容 |
| 物品税の申告・納税 | 2026年9月1日~10月31日に納税義務が発生したものについて、11月15日まで延長 |
| 月次報告書の提出 | 2026年9月~10月に提出期限が到来するものについて、11月15日まで延長 |
| 営業許可の更新申請 | 2026年9月1日~10月31日に期限が到来する酒類・たばこの製造許可、および酒類・たばこ・トランプの販売許可について、11月15日まで延長 |
対象となるのは、工場、保税倉庫または対象サービス施設が洪水被災地域に所在する事業者です。
本措置は物品税そのものを免除するものではなく、申告・納税期限等を延長するものです。
5. 日系企業における実務上の留意点
今回の支援措置のうち、日系企業の税務実務に特に関係するのは、法人所得税、源泉所得税、VATなどの申告・納税期限の延長です。
洪水被害を受けた地域に所在する企業については、毎月の源泉所得税やVATの申告に加え、法人所得税の確定申告・中間申告についても期限延長の対象となる可能性があります。
また、被災した機械設備の更新を予定している製造業では、輸入関税の免除により設備復旧コストを軽減できる可能性があります。
ただし、各措置の適用には、政府が指定する対象地域や所定の条件を満たす必要があります。
現時点では関連する財務省告示等の正式な公布を確認する必要があるため、対象企業は管轄税務署への確認を行い、申告・納税期限や機械設備の輸入スケジュールを慎重に管理することが重要です。
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