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大雨・洪水等の自然災害により在庫や固定資産に被害が生じた
場合のタイ税務上の取扱いと実務上の留意点

2026.09.29
会計・税務

2026年9月23日から27日にかけてタイ各地で発生した大雨により、工場や事業所への浸水が発生し、機械設備や車両などの固定資産また在庫にも被害が生じている企業が見受けられます。

固定資産が浸水等により使用できなくなった場合、また在庫について販売不能となり廃棄せざるをえない場合、その損失に係る法人税上の取扱いについて注意が必要です。

1. 在庫に被害が生じた場合

商品、製品、原材料等の在庫が浸水し、品質の劣化等により販売または事業に使用することができなくなった場合には、適切な手続に従って廃棄することにより、当該在庫の原価を法人税上の損失として処理することができます。

タイ歳入局通達 No. Paw.79/2541では、品質が劣化した商品、不良品、期限切れ商品等を廃棄し、その原価を法人税上の損金として処理する場合の手続が定められています。一般企業の場合には、在庫の状態を確認し、社内の権限者による廃棄承認を受けたうえで、倉庫、経理、営業または内部監査等の関係者が廃棄に立ち会い、廃棄の事実を記録するとともに、監査人を立会人として招くことなどが求められています。

また、一定期間保管することが可能な在庫を後日まとめて廃棄する場合には、原則として廃棄日の30日前までに管轄の歳入局へ通知する必要があります。

一方、食品、医薬品、化学品等のように、その性質上、保管して後日廃棄することが困難な在庫については、上記の30日前の通知は求められていません。ただし、社内での損傷状態の確認および廃棄承認を行い、関係部署による立会いおよび記録を行うとともに、監査人を廃棄の立会人として招くことが求められています。

今回のような浸水等によって大量の在庫が被害を受けた場合には、衛生・安全上の理由から早急な処分が必要となるケースも考えられます。そのため、廃棄前に監査人等の関係者へ連絡するとともに、被害および実際に廃棄した事実を後日確認できるよう、十分な証拠資料を残しておくことが重要です。

具体的には、浸水状況の写真、被害を受けた在庫の品目・数量・原価を記載した一覧、在庫台帳、社内の廃棄承認書、廃棄時の写真・動画、立会者の記録、廃棄業者からの証明書、保険会社とのやり取り等を適切に保存しておくことをお勧めいたします。

なお、タイ歳入局のタックスルーリングกค 0706/308(2008年1月15日)では、
品質が劣化し販売できなくなった在庫について、歳入局が定める手続に従って適切に廃棄した場合には、当該廃棄はVAT上の「販売」には該当せず、廃棄した在庫の価額についてVATを納付する必要はないとされています。また、当該在庫の残存原価については、法人所得税上の損金として処理することが認められています。

※BOIの恩典を利用して輸入した原材料やIEATの管理下にある在庫等については、通常の廃棄手続とは異なる手続が適用される場合がありますので、個別に確認する必要があります。

2. 固定資産に被害が生じた場合

タイ歳入局通達 No. Paw.58/2538では、固定資産が損傷し、使用できなくなった場合でも、使用できなくなったという事実のみをもって、その固定資産の残存簿価を税務上の損金として処理することはできないとされています。

原則として、残存簿価を損金として処理するためには、当該固定資産を実際に廃棄または売却するなどの処分を行う必要があります。

そのため、自然災害によって損傷したものの現物が残っている固定資産についても、単に使用不能となっただけでは残存簿価の全額を損金処理することはできず、原則として実際に廃棄または売却するなどの処分が必要となります。

3. 自然災害により固定資産が消失・滅失した場合

一方、自然災害により固定資産そのものが流失するなど、資産が消失・滅失した場合には、その損失について税務上の処理が認められる場合があります。

この場合、保険等による補償の有無によって取扱いが異なります。

保険契約等による補償がある場合には、原則として保険金等による補償額の確定を待ち、当該損失を直ちに税務上の損金として処理することになります。

保険金等が損失額を下回る場合にはその差額を損失として処理し、保険金等が損失額を上回る場合には、その差額が利益となります。

一方、保険等による補償がない場合には、資産が実際に消失・滅失したことを信頼できる証拠により証明できれば、その残存簿価を税務上の損失として処理することができます。

なお、自然災害による損害について保険会社から受領する保険金について、税務上の残存簿価を超える部分を法人所得税の課税所得から免除する措置が設けられています(勅令 No.527)。

今回の大雨・浸水により固定資産に被害を受けた企業におかれましては、被害状況の写真、固定資産台帳、廃棄・処分に関する記録、廃棄時の写真、保険会社とのやり取り、保険金の算定資料等を保存しておくことをお勧めいたします。

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。

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