2026年7月 最新改正情報
1. 社会保険の老齢年金制度が見直しへ ~CARE方式の導入を閣議承認~

2026年7月15日、タイ内閣は、社会保険制度における老齢年金(退職後に一定の加入要件を満たした被保険者に支給される年金)の計算方法を見直す省令案を承認しました。
タイの老齢年金制度を「退職前5年間の給与」から「加入期間全体の給与」を基礎とする仕組みへ見直す重要な制度改正です。
今後、官報(Royal Gazette)に公布され、公布から180日後に施行される予定です。なお、現時点では官報には公布されておらず、正式施行前の段階です。
改正の概要
現行制度では、老齢年金は退職前60か月(5年間)の平均給与を基に算定されています。
新制度では、CARE(Career Average Revalued Earnings)方式が導入され、加入期間全体の給与を現在価値に補正した上で年金額を計算する仕組みに変更されます。
主な改正点は以下のとおりです。
- 退職前5年間ではなく、加入期間全体の給与を基に年金を算定
- 過去の給与は現在価値に補正(Revaluation)
- 「Pension Point(年金ポイント)」制度を導入
- 老齢一時金について、本人負担分に加え、会社負担分および運用益も給付対象となる予定
社会保険事務所による試算では、平均で約10%(約290バーツ/月)の年金増額が見込まれています。一方、退職前に大幅な昇給があった場合など、一部のケースでは年金額が減少する可能性もあるため、制度開始後5年間は経過措置が設けられる予定です。
日系企業への影響
今回の改正は年金の給付計算方法を見直すものであり、現時点で社会保険料率や会社負担額が変更されるものではありません。
一方で、退職金制度や福利厚生制度への影響の確認などが必要になると考えられます。
2. VAT(付加価値税)7%の適用期間をさらに1年間延長へ

2026年7月27日、タイ内閣は、VAT(付加価値税)の軽減税率を現行の7%のまま維持する勅令案を承認しました。なお、本制度は現時点では官報(Royal Gazette)には公布されておらず、正式施行前の段階です。
改正の概要
タイのVATの法定税率は10%(歳入法80条)ですが、政府は景気対策や企業・国民の負担軽減を目的として、長年にわたり7%の軽減税率を適用しています。
今回の閣議決定により、この軽減措置をさらに1年間延長する予定です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法定税率 | 10% |
| 適用税率 | 7% |
| 延長期間 | 2026年10月1日~2027年9月30日 |
今回の改正は現行のVAT税率を維持するものであり、新たな税負担が発生するものではありません。
3. 社会的企業(Social Enterprise)への寄付に対する税制優遇措置を延長・拡充へ

2026年7月21日、タイ内閣は、社会的企業(Social Enterprise)および社会的企業振興基金への寄付に関する税制優遇措置を延長・拡充する勅令案を承認しました。なお、本制度は現時点では官報(Royal Gazette)には公布されておらず、正式施行前の段階です。
改正の概要
今回の改正では、社会的企業への寄付を促進するため、税制優遇措置の適用期間が延長されるとともに、一部制度の見直しが行われます。
社会的企業または社会的企業振興基金へ、歳入局のe-Donationシステムを利用して寄付を行った場合、以下の税制優遇措置を受けることができる制度です。
- 個人:寄付金額の2倍を所得控除(上限:課税所得の10%)
- 法人:寄付金額または寄付資産の価額の2倍を損金算入(上限:税務上の利益の10%)
適用期間は、2024年1月1日から2028年12月31日までの5年間となる予定です。
寄付資産の譲渡に係る税金を恒久的に免除
社会的企業等へ無償で資産を譲渡または寄付した場合には、以下が免除されます。なお、従来は期限付き措置でしたが、今後は恒久措置となる予定です。
- 所得税
- VAT(付加価値税)
- 特定事業税
- 印紙税
税務優遇の申請期限を緩和
税務優遇を受けるための届出についても見直されます。
従来は会計期間内での届出が必要でしたが、登録から決算日までが90日未満の場合には、登録日から90日以内(初年度は一定の場合180日以内)の届出が認められる予定です。
日系企業への影響
今回の改正は、CSR(企業の社会的責任)やESG活動を推進する企業にとって活用しやすい制度となります。
一方、優遇措置を受けるためには、歳入局のe-Donationシステムを利用することや対象となる社会的企業・基金へ寄付することなどの要件を満たす必要があります
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