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【解説】第1回 新規赴任者のためのタイ会計税務①

2024.04.22
会計・税務

1.タイにおける会計制度及び会計基準

 タイ国内に存するすべての企業は、タイ会計基準及び原則のもと、会計監査を受ける必要があります。また、監査済み財務諸表は決算日から150日以内に年次法人税申告書とともに提出する必要があり、会計監査と法人税申告が紐づいている形です。

 タイの会計基準は以下の2つが存在し、それぞれ上場会社向け、非上場会社向けと企業に応じ適用する会計基準が異なります。大半の日系企業は非上場会社向け会計基準が適用されています。

  • TFRS for PAEs  (Thai Financial Reporting Standards for Publicly Accountable Entities)
    上場会社及び金融機関などの公的説明責任を有する企業向け。
  • TFRS for NPAEs  (Thai Financial Reporting Standards for Non-Publicly Accountable Entities)
    非上場会社向け。

 上場会社向けのTFRS for PAEsは国際会計基準(IFRS)に基づくものとなっている一方、TFRS for NPAEs  では一部の会計基準について、簡便的な取り扱いや任意適用となっている項目が含まれています。例えば、税効果会計については適用が要求されておらず、任意適用となっている点や、退職給付会計についても年金数理計算は要求されておらず、企業の最善の見積りで計上する形となっている点など、すべての企業が会計監査を受けるというタイ特有の制度設計を考慮し、一部の会計基準については簡便的な取り扱いとなっている点が特徴です。

2.タイにおける税務制度

 タイにおける税体系は、法律である歳入法(Revenue Code)により定められており、勅令、省令・省告示、通達・告示にて詳細や具体的な記載がなされています。一方、タイ国外との取引における、各国との間で締結された租税条約も存在し、原則的にタイ国内法に優先して適用されます。

 企業運営においてもっとも関連する租税種類としては、法人所得税、源泉税、及び付加価値税(VAT)があります。源泉税やVATについては毎月の申告・納付が必要となるため、会計記帳のみならず税務申告作業についても経理領域では業務負荷が高くなっています。また、海外駐在特有の論点として個人所得税があげられますが、詳細は別の記事にてご説明いたします。その他税金として、印紙税、貿易取引で生じる関税、不動産取引や貸付利息の受領に伴う特定事業税なども、業務に関連し生じる租税種類となります。

3.法人所得税

 タイでは法人の所得に対して課される税金は法人税のみとなっており、日本のように法人事業税や法人住民税はありません。小規模会社への優遇を除き、税率は20%となっています。決算日後150日以内に法人税申告・納付を行う必要があります。

 また、決算日より6か月後以降2か月以内に中間法人税申告を行う必要があります。こちらは、年間の課税所得を見積り、その所得の1/2相当の法人税を納付するものとなっています。中間法人税申告における課税所得の見積り金額に対し、実績としての年間課税所得が大きく上回り、その乖離が25%以上となった場合には納税不足額に対し延滞税が生じます。ただし、「合理的な理由」がある場合には、この延滞税は課されないと規定されています。具体的には、前事業年度の法人税納付額の半分以上を中間法人税申告時に納めた場合、この「合理的な理由」に該当するとされており、延滞税は生じません。反対に、中間法人税申告における課税所得の見積り金額に対し、実績としての年間課税所得が大きく下回り、中間申告時の納付額を下回る確定申告納税額となった場合には、法人税の過払いになってしまいます。この過払い部分の返還を受けるためには還付請求手続を行う必要がありますが、タイでは税金種類に関わらず、還付請求を行った場合には税務調査となることが通例です。税務調査の結果によっては還付請求を行った金額が返還されないばかりか、追徴となってしまうケースもあり、実務上は還付請求を行うか否かについては、還付申請金額、税務調査時に各種説明が行える管理体制の強度、税務調査に対応する時間や人員コスト等を考慮の上、還付申請を行う判断が必要となります。

 今回は、新規赴任者の方のためのタイ会計税務制度の基礎部分及び法人所得税について説明致しました。次回は、タイの租税では最もポピュラーなVATと源泉税(法人税)について説明を致します。

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