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【解説】第2回 新規赴任者のためのタイ会計税務②

2024.05.23
会計・税務

1.付加価値税(VAT)

 タイの付加価値税(VAT)は日本の消費税に該当するものとなっており、タイ国内での物品や役務提供の消費に対し課される間接税となっています。現在、法定の税率は10%となっていますが、勅令により近年7%へ引き下げられ適用期間の延長が続いています。180万バーツを超える収入がある事業者はVATの納税義務が生じるため税務署にてVAT登録を行う必要があります。

タックスインボイス(Tax Invoice)

VAT登録を行った者は、取引の際にはタックスインボイスの発行が義務付けられています。タックスインボイスのない取引は、売上VATから控除される仕入VATとして扱うことができないことから、納税計算の基礎となる大切な書類となります。

VATの計算、申告納付手続

売上時に課される売上VATから仕入時に支払われる仕入VATを控除した金額を申告・納付する必要があります。PP30(Phor Phor 30)という申告書式となり翌月15日が申告期限となります。(電子申告での期限は翌月23日となります。)サービスを輸入する際に生じるVATについてはPP36という申告書式となり翌月7日(電子申告の場合翌月15日)が申告期限となります。サービスの輸入とは、「タイ国外で遂行され、タイ国内で使用・消費されたサービス」を指し、当該取引についてもVATが課されることになります。当該サービスに係るVATを外国法人が支払うことができないため、タイ法人がPP36にて申告・納税を行う必要があります。VAT登録を行っている企業はタイ国内取引で生じる仕入VATと同様にPP36で申告したVATも売上VATから控除することが可能です。

VATの繰越及び還付申請

売上VATと仕入VATを比較した際に、仕入VATが上回ってしまった場合、つまりVATの過払いが生じている場合には還付請求又は仕入VATの繰越を行うことができます。VATの繰越処理は、仕入VATが売上VATを上回った金額を翌月以降に繰越しできる処理であり、翌月以降の売上VATに繰越処理をした仕入VATを充当することができます。こちらの仕入VATの繰越期限はないため、仕入VATが売上VATを上回る状況が一時的である場合には繰越処理により、繰越処理を行った以降の期間で売上VATとの相殺処理を行っていくことになります。一方で、繰越処理ではなく実際に過払いとなったVATについて還付請求を行うことも可能となります。こちらは申告月から3年が還付請求可能期間となります。税金還付の請求に際しては、VATに限らず税務調査が行われることが一般的です。税務調査の範囲もVATに限定されず、税務調査が長期化することや調査担当官からの指摘により追徴となうケースも多くあります。VATが累積している状況に応じ、繰越処理又は還付申請を選択していくことになります。

2.源泉税所得税(タイ国内取引)

 日本で源泉税と聞くと、給与の給与の源泉徴収が一般的ですが、タイではほとんどのタイ国内サービス取引の支払に源泉税が課されることになります。申告期限は翌月7日となります。(電子申告での期限は翌月15日)VAT申告とともに、源泉税の申告・納付も毎月実施する必要があり、実務的にも税務申告の負担は大きいものがあります。

源泉徴収の目的

最終的な事業年度の所得に対し法人所得税が課せられます。源泉税は事業年度での所得計算に基づく法人税に先立ち、所得の受け取り者ではなく支払者に租税の徴収と納付義務を課した制度です。早期で安定的な税金徴収を遂行することを目的として制度化されています。

源泉所得税率

サービス取引種類に応じ、国内源泉徴収税率は異なります。賃借料は5%、広告料は2%、専門職サービスは3%などとなっており、サービス取引種類に応じた税率を適用する必要があります。

源泉税還付

源泉税は、所得計算ののちに課せられる法人税に先立って課されるため、最終的な事業年度の所得計算の前に納付が行われます。上述の通り、サービス取引における役務提供を受けた側により源泉徴収の形で納付が行われます。事業年度の所得計算時に課税所得が生じ、計算された法人税額に対し、中間法人税で納付した金額及び、源泉税として納付した金額を控除した残額が、法人税申告時に納付すべき金額となります。そのため、源泉税は法人税の前払いの性格を持つことから、事業年度の法人税額に対する源泉税の金額次第では過払いのポジションとなってしまうこともあります。計算された法人税額を超え過払いとなった源泉税がある場合には、3年以内であれば還付請求を行うことが可能です。ただし、VATと同様に還付請求には税務調査が伴うことが通例となりますので、税務調査時の税務リスクを考慮の上還付請求を行うか否かを決定する必要があります。

―免責事項―

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