Contact

【解説】第7回 会社の資産廃棄時の手続について

2024.10.11
会計・税務

1.資産の処分の方法

   主に、下記の方法が考えられます。
        a) 廃棄(除却)
     b) 売却
     c) 寄付

   滞留品や販売価値の下がっている在庫については、会計上、評価損引当金を計上していても、引当金繰入額が税務上は損金とはならないのに対し、実際に廃棄を行うことで当該事業年度において税務上も損金算入が可能となります。 
   以下に、a)の廃棄について、廃棄損を損金算入するための手続をご説明します。

2.対象となる資産

            ガイドライン(ポー79/2541)は、製造過程で発生する仕損品、品質劣化品、NG品、旧品、期限切れ品、スクラップ(作業くず)の廃棄を対象としています。

            製造過程において通常発生する仕損品は良品の製造原価に含まれますので、ここでの仕損品は通常のロス率を超えて発生した異常なものを指します。

            固定資産についても、廃棄を行う場合は基本的にこのガイドラインを参照することになります。

3.必要な手続

    ガイドラインでは、廃棄損を損金算入するにあたっては、以下の手続が求められています。

           1) 対象となる資産のリストを用意し、会社が定める廃棄の基準にしたがって廃棄が行われること、権限者の承認を得ているなど、適切な社内承認プロセスを経ていること

           2) 廃棄を行う30日前までに管轄税務署へ文書で通知を行うこと

     (管轄税務署の担当官が廃棄日に同席する場合、しない場合の両方があります)

           3) 倉庫部門、経理部門、営業部門、検査部門などの担当者及び監査人の立会いのもと廃棄を行い、監査人から廃棄証明をエビデンスとして発行してもらうこと

なお、保存できない在庫品(食品、化学品など、置いておくことで腐敗、異臭の発生、膨張・爆発など、物理的に損傷の可能性があるようなもの。対象となる範囲はあまり広くありません)については、管轄税務署への通知は求められていません。
また、IEATフリーゾーンに所在する在庫、BOIの恩典を受けている在庫の廃棄についても、管轄税務署への通知は求められませんが、別途、IEAT(タイ工業団地公社)やBOI(タイ投資委員会)の定める方法にしたがう必要があります。

ガイドラインは、税務担当官に対し廃棄についての法人税申告を指導するための指針(ルーリング ゴーコー0706/5525)とされており、会社が明確な証拠をもって実際に資産を廃棄したことを証明できる場合にまで、手続の不足を理由に廃棄損の損金算入を否認するものではありません。
したがって、この手続を踏んでいないと必ず廃棄損の損金算入が認められないというものではありませんが、会社が管理する資産を処分するものですので相応の手続を踏むべきであり、後になって税務担当官と当時の手続を巡り問題となり損金算入の否認がなされることのないよう、ガイドラインにしたがった適切な手続を踏み、文書を残しておかれるべきかと考えます。
また、対象資産について、個々に廃棄前や廃棄時の写真を残すなどして、実際に廃棄を行ったことが、当時の担当者が変わっていたとしても、税務担当官へ明確に説明ができるようにしておかれることをお勧めします。

4. 手続に則らずに廃棄を行う場合

   3.の手続を踏まずに資産の廃棄を行う場合、資産簿価を廃棄損(税務上は損金不算入費用)とし、廃棄資産の市場価格に対して売上VAT(現行:7%)を納めることで実行可能です。
当該廃棄対象資産を購入した際の仕入VATは、すでに貴社売上計上時に、別の売上にかかる売上VATとの相殺として使ってしまっていることがほとんどです。売上に貢献しない在庫品や固定資産にかかる仕入VATを売上VATから控除することは基本的に認められませんので、廃棄を行う場合は市場価格にて売却したと見做して売上VATを納めることになります。

法人税上は廃棄損は有税処理となり、会社の保有している繰越仕入VATの金額が十分でない場合は売上VAT分のキャッシュアウトが発生しますが、廃棄対象品の多寡、手続を対応するマンパワーなどと比較考量の上、ガイドラインに則った処理を行うのかどうかをご検討いただければと存じます。

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。

また、法令の改正や制度変更等により、本記事の内容が将来において必ずしも適用されない場合がありますので、あらかじめご了承ください。

なお、本記事の内容の無断転載・無断使用はご遠慮ください。