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【解説】第8回 タイと日本の法人所得税の違い

2024.11.12
会計・税務

1.会計と税務の違い

タイに赴任されている日本人ディレクターの方とお話をする際によくご質問いただくのが、そもそも会計と法人税申告のための税務会計は何が違うかという点ですので、簡単にご説明いたします。

会計は、一般に公正妥当と認められる会計基準に従い、企業の利害関係者に企業の財政状態(貸借対照表)や経営成績(損益計算書)を適切に報告することを目的としています。一方で法人税申告のための税務会計では、税法に従い法人税申告書により税金の計算をする必要があります。法人税申告書の形式としては、会計上の当期純利益から会計と税務の違いを調整していく形となっていますので、収益や費用の考え方については大きくは同じです。

税務会計上、収益を益金、費用を損金と呼び、(益金 - 損金)で税務会計上の利益(課税所得)を計算します。この課税所得に対して法人税率をかけた金額が法人税額となります。

2.タイと日本の法人所得税の違い

タイと日本の法人税についてよくご質問を受ける相違点を以下3つ取り上げます。

①少額の減価償却資産

減価償却資産には、建物、機械や車両等の有形の資産およびソフトウェア等の無形の資産があります。時の経過によりその価値が減少するため、タイでも日本でも、原則としては各資産の使用可能期間の全期間にわたり一定の方法により各年に取得費用を配分していくことが求められます。ただし、使用可能期間が1年未満のものについては、タイでも日本でも取得年度に全額の損金算入が認められます。

また、日本の場合は取得価額(通常1単位として取引される単位ごと)が10万円未満のものに関しては、使用可能期間が1年以上であっても、資産計上せずに取得年度に全額を損金算入することが認められます。

一方で、タイでは1年以上使用可能な1バーツ以上の減価償却資産については、原則資産計上が必要になります。実務上は、管理の煩雑さと金額の重要性を勘案して、社内で固定資産に計上する基準額を設定し、基準額以下の資産については1年以上使用可能な減価償却資産であっても取得年度の損金とされることが一般的です。税法において基準額の定めがありませんので、あくまでも税務リスクについては自社で判断される必要があります。

取得年度に全額損金とできるもの
タイ・使用可能期間が1年未満のもの
日本・使用可能期間が1年未満のもの
・取得価額が10万円未満のもの
(中小企業者等の少額減価償却資産の特例等の別途定めあり)

②交際費および贈答品

日本の法人税法での交際費かどうかや損金については細かいお話になりますので、交際費のうち、タイで損金とできる上限額についてのみ記載します。上限額を超え損金にできない金額は、会計上交際費としていても、法人税計算において損金不算入とする必要があります。

発生年度に損金とできる金額
タイ交際費:
総売上高か資本金のどちらか大きい方の0.3%まで(上限は1,000万バーツ)
贈答品:
1人に対し1回あたり2,000バーツまで

③繰越欠損金

繰越欠損金の繰越期間には下記のような違いがあります。

タイ繰越期間:5年間
例)
2024年度法人税申告において欠損金の発生
2025年度~2029年度に発生する課税所得からマイナスが可能

損金算入限度額:
繰越欠損金使用年度の所得金額まで
日本繰越期間:10年間
例)
2024年度法人税申告において欠損金の発生
2025年度~2034年度に発生する課税所得からマイナスが可能
※2018年3月31日以前に開始した事業年度において発生した欠損金の繰越可能期間は9年

損金算入限度額:
中小法人等は繰越欠損金使用年度の所得金額まで
中小法人等以外は繰越欠損金使用年度の所得金額の50%まで

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

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