【解説】第9回 付加価値税について②
1.VATの課税時点
VATの納税義務が「いつ」生じるか?ということを、「課税点」と呼びます。「第5回 付加価値税について①」でご説明をしたように納税義務が生じる取引は、以下の4パターンあります。
①物品の販売
②サービスの提供
③物品の輸入
④サービスの輸入
今回は①および②の詳細を見ていきます。
2.「① 物品の販売」について
物品の販売の場合、原則として「物品の出荷」の時点が課税点となります。ただしそれに先立ち「物品の所有権の移転」が行われた場合、「物品の対価」の受領が行われた場合、あるいは、「タックスインボイスが発行された場合」、いずれか早い時点が課税点となります。
一般的に、物品の売買のケースは、物品の発送時にタックスインボイスと同時にデリバリーノートが発行されるため、課税点は比較的明確です。この場合、タックスインボイスと同時に通常のInvoiceも発行されます。(多くの場合「Invoice/ Tax Invoice」という形式を取ることが多いと考えられます。)
ただし、委託販売など客先に原材料等をデリバリーするが、当該原材料等を顧客が使用する都度、会計上売上の認識を行うパターンがある。VATの課税点はあくまで「物品の出荷」の時点となり、「物品の出荷」の時点にタックスインボイスを発行する必要がある。つまり、タックスインボイスの発行および売上VATの申告・納付を売上の確定する請求時点において実行しようとする場合、VATの遅延申告となるため留意が必要になる。(ただし、事前に歳入局に申請・許可を得ることでVATの課税点を売上の確定する請求時点とすることも可能です。)
割賦販売の場合、物品の引渡しの時点ではなく支払期日が到来した時点で課税が行われます。通常は各支払期日にタックスインボイスが発行され、代金を回収することができなくとも売上VATの納付を行う必要があります。
3.「② サービスの提供」について
サービスの提供の場合、原則としてその「対価の受領」の時点が課税点となります。「対価の受領」前に、「タックスインボイスの発行」や「サービスの使用」が行われた場合、いずれか早い時点が課税点となります。
サービスの使用を客観的に認識することは困難であるため、「対価の受領」を課税点としてVATの納付が行われます。したがって、サービス提供を行う場合、物品の販売の場合と異なり、請求書の後に発送にする領収書と同時にタックスインボイスが発行されることになります(多くの場合「Receipt/ Tax Invoice」という形式を取ることが多いと考えられます。)。
上記のように、「物品の販売の場合」および「サービスの提供の場合」において、会計上の売上認識の時点とVATの課税点が異なるケースがあるため、各社において取引の性質から適切な課税点を整理および認識する必要があります。特に経理作業の観点において、売上の認識時点とVATの認識時点に相違が生じることから、その管理方法において特に留意が必要になります。一方で、仕入側の観点から考慮した場合「物品の購入の場合」「サービスの利用の場合」においても仕入等の認識時点とVATの認識時点において相違が生じることから、併せて会計処理において留意が必要になります。
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