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【解説】第10回 日本親会社との取引にかかる源泉所得税と
付加価値税(VAT)の取り扱いについて

2025.01.13
会計・税務

第10回では、タイ子会社にとって恒常的に発生する日本親会社との取引のうち、物品やサービスの輸出入取引にかかる源泉所得税と付加価値税(以下VAT)の実務上の取り扱いについて、タイ税法と日タイ租税条約の関係も踏まえて解説します。

特にサービスの輸入においては、コミッション、マネジメントフィー、ロイヤリティなど論点になりやすい取引について、詳しく解説します。

タイの源泉所得税ですが、法人所得税の前払として、早期安定的な徴収行うための税金であり、タイでは,、国内だけでなく海外との取引が幅広く源泉徴収対象となっています。
取引ごとに税率が異なって規定されているため、関連法令やタックスルーリングも多くなっており、主にタイ歳入法50条、第70条、第70条の2及び歳入局規則Taw. Paw.4に規定されています。
徴収を容易にするため、納税義務は支払者にある点に留意が必要です。

 一方のVATは、タイ国内において生み出された付加価値を課税対象とする税金であり、それら付加価値を含む物品およびサービスの国内の最終消費者が負担者となります。
税率については、歳入法80条に10%と規定されていますが、現在は7%の優遇措置がとられており、主にタイ歳入法77条から90条に規定されています。

以下、それぞれの取引の課税関係になります。

①物品の輸出

源泉所得税:課税なし 
VAT:0% 課税取引

源泉所得税

物品の輸出に関して、タイ子会社は納税義務はありません。

VAT

物品の輸出については、タイ国内において生み出された付加価値の消費ではないため課税対象となりません。
物品が輸出された国では、輸入通関時点でその国の付加価値税が課されることが一般的であり、物品の原産地国でもVATを課税すると二重課税となって輸出品の国際競争力を阻害するおそれがあるためである。したがって、輸出品に は課税せず、それまでの国内での流通・製造過程で発生したVATも還付される (仕向地原則)。

②サービスの輸出

源泉所得税:課税なし 
VAT:原則課税なし ただし下記参照

源泉所得税

物品の輸出に関して、タイ子会社は納税義務はありません。

VAT

サービスの輸出については、タイ国内において生み出された付加価値の消費ではないため課税対象となりません。
ただし、サービスの輸出については、取引自体の定義が難しく、歳入局長官告示 (VAT) No.105において、以下のような判断基準がありますが、限定列挙であり、実務的には保守的に通常税率 (現行7%)を適用するケースが多く見受けられると思います。

   (a) 外国に居住する利用者に対してタイ国内で提供されたサービスであって、そのすべてが国外で利用されることを目的としたもの。
上記には、物品販売以外のあらゆる利益を目的とした活動を含むものとする。ただし、海外でのツアーサービスはこれに含まない。
   (b) タイ国内で行われる造船、船舶または航空機の修理サービスで、その サービスの利用者がそれら船舶あるいは航空機による国際運輸サービスを 営む場合。この場合、利用者が国内の法人であるか外国の法人であるかを 問わない。
   (c) 国外に所在する資産または輸出貨物への損害保険サービス
   (d) 事業者がフリーゾーン内での輸出製品製造のために、タイ国内またはフリーゾーン内で提供するサービス

③物品の輸入

源泉所得税:課税なし
VAT:7%課税取引

源泉所得税

物品の輸入については、源泉徴収対象外取引になります。

VAT

物品の輸入については、タイ国内において消費されることを目的としているため、課税対象取引となります。

④サービスの輸入

源泉所得税:
  a) 人的役務提供(コミッション、マネジメントフィーなど):15% 
  b) ロイヤリティ:15%
  c) 不動産・動産のリース料:15%
  d) その他のサービス料:租税条約によりタイで課税関係は生じない

なお、タイ法人への支払に対する税率についてはそれぞれⅰ) 3%、ⅱ) 3%、ⅲ)5%となり、日本法人への支払と税率が異なるため、留意が必要です。

VAT:7%課税取引

源泉所得税

a) 人的役務提供(コミッション、マネジメントフィーなど):15%

外国法人で、タイ国内において事業を営んでいないものに対して、人的役務提供(歳入法第40条(2))を支払う場合は、タイ国内外に対して行われる時点で15%の税率で租税納付しなればならないと規定されています(歳入法70条)。

ここで、日本法人へのコミッション、マネジメントフィーの他に、日本からの出張者への給与相当分の支払も人的役務提供サービスとして考えられますが、日タイ租税条約第7条において「日本の企業の利得に対しては、その企業がタイにある恒久的施設(PE)を通じてタイにおいて事業を行わない限り、日本においてのみ租税を課すことができる」と規定されているため、出張者の活動がPEに該当しない場合は、課税対象外となります。
実務上、PEの議論をさけるために保守的に源泉徴収することも一つの手段であり、日タイ双方の税務リスクを考慮して慎重に検討する必要があります。

b) ロイヤリティ:15%

外国法人で、タイ国内において事業を営んでいないものに対して、使用料等所得(歳入法第40条(3))を支払う場合は、タイ国内外に対して行われる時点で15%の税率で租税納付しなればならないと規定されています(歳入法70条)。

ここで、使用料(ロイヤリティ)とは、日タイ租税条約第12条において「文学上、芸術上もしくは学術上の著作物の著作権、特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式もしくは秘密工程の使用もしくは使用の権利の対価として、また産業上、商業上、もしくは学術上の経験に関する情報の対価として受領するすべての種類の支払金をいう。」と規定されています。
そのため、親会社への技術指導料等の支払いについて、ノウハウの移転を伴う場合、ロイヤリティに該当し、源泉徴収対象と解されてます。

一方、ノウハウの移転を伴わない場合は、通常のサービスと同様に源泉徴収対象外となります。
ただ、タイ税務当局は、ノウハウの移転を伴うとはいえない場合であっても、技術的要素を含む人的役務提供をロイヤリティととらえる傾向があります。
そのため、親会社への技術的要素を含むの支払いについては、保守的に源泉徴収することも一つの手段であり、タイの税務リスクを考慮して慎重に検討する必要があります。

c) 不動産・動産のリース料:15%

外国法人で、タイ国内において事業を営んでいないものに対して、賃貸所得(歳入法第40条(5))を支払う場合は、タイ国内外に対して行われる時点で15%の税率で租税納付しなればならないと規定されています(歳入法70条)。

不動産所得については、日タイ租税条約第6条において「日本の移住者がタイに所在する不動産から取得する所得に対しては、タイにおいて租税を課すことができる」としているため、タイ歳入法に基づき15%が適用されます。

また、動産所得についても、日タイ租税条第7条の事業所得に該当せず、第20条3項において、タイにおいて租税を課すことができるとされていることから、タイ歳入法基づき15%が適用されます。

d) その他のサービス料について

 歳入法第40条(8)により、一般的なサービスの提供に対する報酬を支払う場合は、3%の源泉徴収がなされます(歳入局規則Taw. Paw.4 Clause12/1)。
ただし、日タイ租税条約第7条において「日本の企業の利得に対しては、その企業がタイにある恒久的施設(PE)を通じてタイにおいて事業を行わない限り、日本においてのみ租税を課すことができる」と規定されているため、日本法人への支払いに関してはタイで課税関係は生じないと考えられています。

 ただし、サービスという定義が広いことから、日本親会社からの出張者が日本親会社から輸入した機械装置について、アフターサービスを実施し、タイ子会社がアフターサービス料として支払った場合など、人的役務提供やロイヤリティに該当しないと考える場合であっても、タイ税務当局から15%の税率で源泉徴収すべきと指摘をうけるリスクがあり、慎重に検討が必要となります。

VAT

サービスの輸入については、「国外で提供されたサービスであって、かつ、タイ国内で使用される」と歳入法78/1条(3)に規定されており、タイ国内において消費されることを目的としているため、課税対象取引となります。

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。

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