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【解説】第12回 三国間貿易がある場合の共通仕入VAT控除について
 (2025年2月発出歳入局施行規則)

2025.03.13
会計・税務

三国間貿易を行う会社について、2025年2月発出の歳入局施行規則(ポー164/2568号)において共通仕入VATの按分計算方法が明確化されました。今後はこの按分計算方法に従っての月次VAT申告が求められると考えられます。今回はその概要をご説明します。

三国間貿易を行う会社の共通仕入VATの取り扱いについては、これまでも歳入局施行規則(ポー89/2542号)にて規定がありましたが、今回の歳入局施行規則(ポー164/2568号)において、仕入VAT控除対象となる共通仕入VATの算定方法について事例が追加され、その按分の順序や方法が明確化されました。按分計算の結果、共通仕入VATのうち仕入控除として使えない部分は、売上VATとの相殺ではなく費用への振替えが必要です。

1.対象となる事業

会社の事業において、売上はVATにおける区分上、以下3とおりに分けられます。

  1. VAT課税事業(物品販売及びサービスの提供VAT7%、輸出の場合VAT0%)
  2. VAT非課税事業(不動産賃貸業、農作物・生物・書籍の販売、等)
  3. VAT課税対象外事業(三国間貿易)

三国間貿易とは、物品はタイ国内を経由せず、伝票のみタイ法人を経由するものを指します。例えば、ベトナムの工場から製品を日本本社に直送し、タイ法人はベトナムからの仕入、日本本社への売上を計上するような取引です。 
今回の歳入局施行規則により影響があるのは、1)と3)を行う会社、または1)~3)全てを行う会社です。三国間貿易を行わない会社については、これまでの仕入VATの計算方法及び申告方法に変更はありません。

2.共通仕入VATについて

仕入VATには、販売するための物品仕入など取引と直接紐づいて発生するものと、ある取引に直接紐づかないものの会社を運営していく上で発生するもの(共通仕入VAT)とに区分されます。
共通仕入VATには、オフィス賃貸料のうちサービスとして徴収される部分や、インターネットや電話代、事務用品、コンサルティングサービス等への支払いから発生するものが挙げられ、PLにおいて「販売費及び一般管理費」に計上される費用にかかる仕入VATが主に該当すると考えられます。
三国間貿易においては、販売対象である物品はタイには入ってこないため、取引に直接紐づいて発生する仕入VATは基本的に発生しません。主に対応が必要となるのは共通仕入VATの按分となります。

3.共通仕入VATの按分方法

共通仕入VATの按分方法について、以下、歳入局施行規則での例示を使用します。

A【1)VAT課税事業と3)VAT課税対象外事業を行う会社の場合】

 <前提>
 ・5月に1)VAT課税事業から1600万バーツ、3)VAT課税対象外事業から400万バーツの売上があった(5月の売上合計:2000万バーツ、三国間貿易売上割合:400万/2000万=20%)。
 ・同月の共通仕入VATが100万バーツあった。

 <計算>
共通仕入VATのうち、三国間貿易売上割合20%分は仕入控除として使えないため、VAT申告書において控除対象とできる共通仕入VATは80万バーツとなり、仕入控除として使えない20万バーツは費用に含めて処理を行います。20万バーツ費用が増加しますので、その分利益が減少することになります。

B【1)VAT課税事業、2)VAT非課税事業と3)VAT課税対象外事業を行う会社の場合】

 <前提>
 ・2024年5月に1)VAT課税事業から600万バーツ、2)VAT非課税事業から1000万バーツ、3)VAT課税対象外事業から400万バーツの売上があった(5月の売上合計:2000万バーツ、三国間貿易売上割合:400万/2000万=20%)。
 ・同月の共通仕入VATが100万バーツあった。
 ・2023年度の売上は、VAT課税事業50%、VAT非課税事業50%という構成であった。

 <計算>
Aの例と同様に、共通仕入VATのうち、三国間貿易売上割合20%分の20万バーツは仕入控除として使えません。
残りの80万バーツの共通仕入VATについては、前年度のVAT課税売上割合(この事例では50%)に応じて配分することになりますので、VAT申告書において控除対象とできる共通仕入VATは40万バーツとなります。
共通仕入VATのうち控除対象とできない、三国間貿易売上割合分20万バーツ及びVAT非課税事業分40万バーツについては、費用に含めて処理を行うこととなります。

A、Bのいずれの例示においても、通年で前年度の売上実績割合を使用するVAT非課税事業とは異なり、三国間貿易売上割合については毎月の実績から算定する必要があることに留意が必要です。

歳入局施行規則は、歳入局職員に対するガイドラインのため法令ではありませんが、税務調査時などにおける担当官の指針となるものですので、今後はこれに従い申告をしていくこととなります。適用日について明確な記載はありませんが、これから申告書を提出する2025年2月度のVAT申告から従うべきものと解されます。

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。

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