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インドネシアの税務ペナルティが最大100%免除に
―PMK 71/2026とKEP-239/PJ/2026の対象・条件・期限

2026.10.21
会計・税務
Indonesia

2026年10月、インドネシアで行政制裁(加算税・延滞利息・罰金)の減免に関する2つの規定が施行されました。財務大臣規則PMK 71/2026(10月2日施行)と国税総局長決定KEP-239/PJ/2026(10月8日施行)です。対象となる制裁について、条件を満たして申請すれば最大100%の減免を受けられます。一方、減免率は制裁の種類と納付時期で細かく分かれ、異議申立(Keberatan)との関係や元本先払いなど、判断を誤ると不利益を被る論点も含まれます。本記事では、制度の全体像と検討のポイントを整理します。

2つの規定の役割分担

PMK 71/2026は、更正・異議申立・制裁減免等の手続を定めたPMK 118/2024の改正規則で、主な変更点は3つです。

  • 納付額の充当順序:改正前は納付額が元本と制裁に比例配分されていましたが、改正後は納付額をまず元本に充当します。減免申請は元本完納が前提のため、要件を満たしやすくなります。

  • 除外される制裁の明確化:異議申立・控訴等が棄却された場合の加算は対象外と明記されました。

  • 第27A条の新設:SKP(更正通知)・STP(徴収通知)の制裁を、施行から2年以内の申請を対象に国税総局長が減免できる規定で、KEP-239/PJ/2026の根拠です。

KEP-239/PJ/2026は、第27A条に基づく「制裁減免プログラム」の実施決定です。基本期間は2026年10月8日〜2027年6月30日、申請は2028年10月1日まで受け付けられます。なお、自主開示プログラム(PPS)関連のSKPには2027年12月31日までの別区分、新規登録者の過年度申告には別紙Dの区分がありますが、本記事では一般的な区分を扱います。

対象となる行政制裁と減免率

対象は、KUP法(国税通則法)およびPBB法(土地建物税法)に基づく制裁で、申告遅延の罰金、修正申告・納付遅延の利息、税務調査のSKPに含まれる利息・加算、STPで課される利息、税務インボイス関連の罰金、徴収段階の利息、PBBの行政罰金です。減免率は、どの通知のどの制裁か、元本をいつ納付したかにより100・50・25%の系列と90・75%の系列に分かれ、早く対応するほど大きく減免されます(表1)。

表1 KEP-239/PJ/2026による減免率の主な区分

区分対象となる通知・制裁と要件減免率と期限
A自主申告・修正申告2025年度以前の年次申告・2026年9月分以前の月次申告(不足納付)を2026年10月8日〜2027年6月30日に提出・納付した場合の第7〜9条の制裁提出日が2026年12月31日まで:100%

2027年3月31日まで:50%/2027年6月30日まで:25%
B当年度分のSTP期間中に発行されたSTPの第14条第3項の利息。元本を2027年6月30日までに完納元本完納がSTP発行から1か月以内:100%

2か月以内:50%

2か月超:25%
C税務調査のSKP期間中に発行されたSKPの第13条等の制裁。元本を2027年6月30日までに完納2026年中に発行されたSKPを2026年12月31日までに完納、または発行から1か月以内に完納:100%

上記に該当せず2か月以内:50%

上記に該当せず2か月超:25%
D徴収段階(元本未納)①開始前に発行されたSKP・STPの第13条等の制裁・PBB法第10条の罰金(異議申立なしに限る)、第19条の利息(異議申立なし:第1項、あり:第1〜3項)、PBB法第11条第3項の罰金 

②期間中に発行された徴収STPの第19条第1・2項の利息、PBB法第11条第3項の罰金。元本(異議申立を行ったSKPは税債務)を2026年10月8日以降に完納
完納が2026年12月31日まで:100%

2027年3月31日まで:50%

2027年6月30日まで:25%
E1制裁のみ未納(開始前に発行された通知)①開始前に発行されたSTPの第7〜9条の制裁、第14条第4項の罰金(後者は異議申立なしに限る) 

②元本を2026年10月8日より前に完納済みのSKP・STPの第13条等の制裁(異議申立なしに限る)、第19条第1〜3項の利息、PBB法第10条・第11条第3項の罰金
制裁の10%を2026年12月31日までに納付:90%

25%を2027年1月1日〜6月30日に納付:75%
E2制裁のみ未納(期間中に発行されたSTP)①第7〜9条の制裁(監督段階のSTPは、申告・修正申告を2026年10月8日より前に提出したものに限る) 

②第14条第4項の罰金 

③元本を2026年10月8日より前に完納済みのSKPに係る第19条第1〜3項の利息、PBB法第11条第3項の罰金
制裁の10%を2026年12月31日まで(2026年中発行のSTP)またはSTP発行から1か月以内に納付(最終2027年6月30日):90%

25%を発行から1か月超、2027年6月30日までに納付:75%

同じ「開始前に発行された通知」でも、制裁の根拠条文、元本の納付状況、異議申立の有無によって、区分D(100・50・25%)と区分E1(90・75%)に分かれます。一つの要素では区分は決まらないため、通知の種類と発行日、根拠条文、申告・納付の時期、異議申立の状況を併せて確認してください。

申請要件

いずれの区分でも、PMK 118/2024第23条・第24条の要件に加え、KEP-239/PJ/2026が定める次の条件が必要です。

  • 法的救済手続を申し立てていないこと:訴訟等を申し立てていない旨の声明書(印紙付き)を添付します。申し立て済みの場合は取り下げて取下げ申請書を添付し、異議申立は取下げについて国税総局長の承認が必要です。

  • 過失等による制裁である旨の誓約書:PMK 118/2024第27条第3項の事由(初回の制裁、改正税法令の施行から6か月以内の履行、第三者の過失、当局側の誤り、災害、システム障害、資金繰り難など)に該当する旨の誓約書(印紙付き)を提出します。資金繰り難は、法人では申請前2年連続の損失と流動性の困難が条件です。

  • 未納の制裁であること:納付済みの制裁は還付されません。

  • 申請回数と期限:同一のSKP・STPにつき最大2回(PBB行政罰金は1回)、2回目は原則として初回決定の送付から3か月以内です。申請期限は2028年10月1日ですが、減免率を決める納付・提出期限は表1のとおり別に管理が必要です。

国税総局は本プログラムを「全面的な恩赦ではない」と明言しており、申請しても審査のうえ棄却される可能性は残ります。

異議申立との関係

SKP自体に記載された制裁は、PMK 118/2024第23条により、異議申立をしていない、取り下げて承認を得た、または審理対象とされなかった(tidak dipertimbangkan)場合にのみ減免を受けられます。一方、異議申立を行ったSKPに関連する第19条の利息には、税債務の完納を条件とする区分(D・E1・E2)が別途ありますが、審理中のまま減免を受けられるという意味ではなく、個別の確認が必要です。

判断の目安として、指摘が事実関係として概ね正しく、争点が制裁の重さにあるなら、元本を納付して減免申請する方が時間・コストの両面で有利です。異議申立は結論まで最長12か月を要し、棄却されると追加の加算が課されます。法令解釈の誤りがあり元本の取消が見込めるなら異議申立を選びますが、同一SKPの一部だけを争い、残りを減免するという選択は原則としてできません。100%免除の期限(2026年12月31日または発行から1か月)は短いため、資金手当てと本社への説明を早めに進め、異議申立の期限(SKP送付から3か月)が先に来る案件がないかも確認してください。

実務上の進め方

  1. 未提出・未修正の申告、発行済みのSKP・STP、進行中の税務調査、異議申立中の案件を棚卸しし、表1の区分を判定する。

  2. 各通知について元本と制裁の内訳、納付済み額を確認し、PMK 71/2026の充当順序に基づく元本充当額を把握する。

  3. 100%免除の期限から逆算し、本社送金を含む資金計画を立てる。

  4. 声明書・誓約書、SKP・STPの写し、納付証憑を揃え、通知ごとに申請する。

  5. 進行中の税務調査は、SKP発行後1か月以内の納付を見据えて準備する。

まとめ

対象となる行政制裁は、条件を満たして申請すれば最大100%の減免を受けられます。一方で、減免率は区分により分かれ、異議申立との関係、元本先払い、短い期限という制約があります。該当しそうな案件がある場合は、2026年11月中を目途に方針を決めることをお勧めします。

本件に関してご不明な点がございましたら、弊社担当者までお気軽にお問い合わせください。

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