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重要!SATによるCFDI調査の新制度

2026.07.10
会計・税務
Mexico

はじめに

2026年より、SAT(メキシコ税務当局)は、CFF(連邦税法)第49-Bis条に基づき、CFDI(電子請求書)の「実体」を確認するための新たな調査制度を開始しました。今回の改正は、単なる税務調査手続きの変更ではありません。SATの税務行政は、「請求書(CFDI)があるか」から、「その取引が本当に存在したのか」を確認する時代へ大きく変わろうとしています。本ニュースレターでは、本制度の概要と、企業が今から準備すべき事項についてご紹介いたします。

1.制度導入の背景

メキシコでは長年にわたり、実際には存在しない取引に対してCFDIだけを発行する会社(Facturera)が社会問題となってきました。これらの会社は、商品やサービスを提供していないにもかかわらず、企業へCFDIのみを発行し、受領企業はそのCFDIを利用して経費計上やIVA控除を行うケースがありました。こうした取引は、法人税(ISR)の過少申告 、IVAの不正控除 、マネーロンダリング などにも利用され、国家財政へ大きな影響を与えてきました。
SATはこれまで69-B条(注1)によるEFOS Empresas que Facturan Operaciones Simulada:架空取引に係る請求書を発行する会社やEDOSEmpresas que Deducen Operaciones Simulada:架空取引に係る請求書を利用して損金算入をする会社)対策を進めてきましたが、調査に長期間を要することが課題でした。そこで今回「取引そのものの実体」を迅速に確認する49-Bisが新設されました。

(注1)CFF第69-B条は、SATが、十分な資産・人員・インフラ・事業能力を有しないにもかかわらずCFDIを発行している納税者、または所在地不明の納税者について、「架空取引を行っている可能性がある」と推定し、公表・反証手続を行う制度を定めた規定である。これにより、当該CFDIを発行した会社はEFOS、当該CFDIを利用して損金算入・税額控除を行った会社はEDOSと呼ばれる。

2.49-Bisとは何か

49-Bisは、「CFDIが実際に存在する取引又は法律行為(契約等)を裏付けているか」を確認するための税務調査制度です。従来のように、「CFDIが発行されている 」「会計帳簿へ計上されている 」だけでは十分ではありません。SATは「実際にその仕事が行われた証拠」を確認します。

3.SATはどのような資料を確認するのか

例えばサービス取引では、契約書、見積書、発注書、メール、Teams・Zoom等の会議記録、報告書、成果物、納品確認書、銀行送金記録などが重要になります。
商品販売では、発送記録、運送会社資料 、倉庫記録 、在庫管理資料、写真なども確認対象となることが想定されます。

4.企業への影響

多くの企業では、「契約書がある」「請求書がある」「銀行送金もしている」ということで安心されるケースが多くあります。しかし49-Bisでは、SATはさらに一歩踏み込み、「その会社は本当にそのサービスを提供できたのですか。」という点を確認します。つまり、取引実体(Materialidad)を証明できることが重要になります。そのため、請求書を保存するだけではなく、取引の経緯や成果物など、「実際に業務を行ったこと」を証明できる資料を日頃から保管することが重要になります。

5.準備すべきこと

当社では、次の資料を日頃から整理・保管することを推奨いたします。

項目主な資料
契約契約書・注文書
サービス報告書・成果物・議事録
商品納品書・配送伝票・在庫記録
支払銀行送金記録
社内記録メール・チャット・会議記録
取引先確認会社情報・実在性確認資料

SATからの調査通知を受けてから資料を作成するのではなく、日常業務の中で保存することが重要です。

まとめ

今回のCFF(連邦税法)第49-Bis条の追加は、単なる税務調査手続きの追加ではありません。今回の49-Bis条の導入は、「CFDIが存在するか」を確認する時代から、「その取引が実際に存在したか」を確認する時代への大きな転換点といえます。今後は、契約書やCFDIだけではなく、成果物、議事録、メール、写真、納品記録など、取引実体(Materialidad)を証明できる資料を適切に保存しているかが重要になります。企業においても、「書類がある」ことだけではなく、「実際に業務が行われたことを説明できる」体制づくりが、今後ますます重要になると考えられます。

~なぜSATはここまで厳格化にするのか~

メキシコでは長年、実体のない請求書(Facturera)が脱税やマネーロンダリングに利用されてきました。49-Bisは、その問題を解決するために導入された制度です。今回の改正を理解するためには、条文だけではなく、メキシコの税務行政が歩んできた歴史を知ることが重要です。当社では、今後のニュースレターでも「制度の背景」や「社会情勢」を交えながら解説してまいります。

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