Contact
  • TOP
  • GLOBAL NEWS
  • インドネシアにおけるグローバル・ミニマム課税(GMT)の具体的な対応

インドネシアにおけるグローバル・ミニマム
課税(GMT)の具体的な対応

2026.06.30
会計・税務
Indonesia

インドネシアは、OECD/G20主導のBEPS 2.0「第2の柱(Pillar Two)」を国内法化し、2025年1月1日以後に開始する事業年度からグローバル・ミニマム課税(GMT)を適用しています。実体ルールを定めるPMK 136/2024に加え、2026年5月4日には具体的な手続きを定める国税総局長規則PER-6/PJ/2026が公布されました。本記事では、これらの現行法令に基づき、対象企業に求められる対応を解説します。

適用対象

直前4事業年度のうち2事業年度以上で連結グループ収入が7.5億ユーロ以上である多国籍企業(MNE)グループの構成事業体が対象です。各法域で最低15%の実効税率を確保する制度で、これを実現するためにIIR(所得合算ルール)、DMTT(国内ミニマム・トップアップ税)、UTPR(軽課税所得ルール)の3つの仕組みが設けられています。日本の親会社がこの基準を満たす場合、インドネシア子会社は原則として対象となります。

対象年度とGloBE税務年度

期限を正しく理解するうえで、2つの年度概念の区別が重要です。「対象年度(Tahun Pengenaan GloBE)」はGMTが課される会計年度、「GloBE税務年度(Tahun Pajak GloBE)」はその翌年を指します(PER-6第1条)。いずれも子会社の決算期ではなく、最終親会社(UPE)の会計期間に連動します(第29条)。たとえば親会社が3月決算であれば、子会社が12月決算でも初年度の対象年度は2025年4月〜2026年3月となります。通常の法人税申告(SPT Badan)は従来どおり子会社の決算期で行い、GMTとは別建ての手続きです。

求められる手続き

対象となるインドネシア子会社は、次の手続きをCoretaxで電子的に行います。

GloBE納税者登録

最初の対象年度終了後9か月以内(第4条)。既存のNPWPへのステータス追加として扱われます。

年次申告(SPT/DMTT)

GloBE税務年度終了後4か月以内(第11条)。DMTT申告は全GloBE納税者が対象で、追加納税額がゼロでも提出が必要です。

GIR(情報申告書)

対象年度終了後15か月以内(第13条)。居住UPEに提出義務があり、非居住UPE(日本親会社等)の場合は報告事業体に指定された場合など一定の場合に現地提出義務が生じます。

通知(Notification)

対象年度終了後15か月以内(第15条)。GIRを提出した場合は免除されます。

追加税の納付

GloBE税務年度終了まで(第20条)。申告期限より先に到来する点に注意が必要です。

各手続きの期限を、親会社が3月決算である場合の初年度を例にまとめると次のとおりです。

手続き起算点期限初年度の例
(親会社3月決算)
GloBE納税者登録対象年度末+9か月2026年12月31日
年次申告(SPT/DMTT)GloBE税務年度末+4か月(初年度は+2か月延長可)2027年7月31日(延長時は9月30日)
GIR(情報申告書)対象年度末+15か月(初年度は+18か月)2027年9月30日
通知(Notification)対象年度末+15か月(初年度は+18か月)2027年9月30日
追加税の納付GloBE税務年度末GloBE税務年度末まで2027年3月31日

初年度に限り、年次申告は2か月、GIR・通知は18か月までの延長措置が設けられています(第11条・第13条・第15条)。

実効税率(ETR)に関する留意点

GMTで判定に用いる実効税率(ETR)は、法定税率である22%そのものではなく、対象租税をネットGloBE所得で除して算定する独自の指標です。タックスインセンティブ、永久差異、繰延税金、各種のGloBE調整の影響を受けるため、法人税率が22%であることをもって追加税が生じないと一律に判断することはできません。

一方で、現行法令には負担を軽減する仕組みも設けられています。代表的なものとして、法域単位での平均GloBE収入が1,000万ユーロ未満かつ平均GloBE所得が100万ユーロ未満である場合に当該法域の追加税をゼロとみなすデミニマス適用除外や、初年度の負担を軽減する移行期CbCRセーフハーバーがあります。

まとめ

対象企業には、登録・年次申告(DMTT含む)・GIR・通知・納付という一連の対応が求められます。期限がすべて親会社(UPE)の会計期間を基準とすること、追加納税額がゼロでもDMTT申告は必要であること、ETRが法定税率とは異なる独自の概念であることが、実務上の重要なポイントです。

本件に関してご不明な点がございましたら、弊社担当者までお気軽にお問い合わせください。

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。

また、法令の改正や制度変更等により、本記事の内容が将来において必ずしも適用されない場合がありますので、あらかじめご了承ください。

なお、本記事の内容の無断転載・無断使用はご遠慮ください。