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AFOREの基礎知識

2026.06.11
会計・税務
Mexico

メキシコ勤務で積み立てられる退職資金

メキシコで会社員として勤務していると、給与に基づいてIMSS(社会保険料)、Infonavit(住宅基金)に関する拠出が行われます。日々の給与明細では見慣れた項目であっても、その制度の意味や、退職・帰国・死亡時にどうなるのかまで把握している方は多くありません。特に日本人駐在員や現地採用の日本人にとって、IMSS料の一部として拠出されるAFOREは「メキシコ人の年金制度」という印象が強いかもしれません。しかし、IMSSに登録されてメキシコで勤務していた外国人であっても、AFORE口座に資金が積み立てられています。

AFOREとは

AFOREとは、Administradora de Fondos para el Retiroの略で、労働者の退職資金を管理する金融機関です。日本の制度に近いイメージでいえば、労働者ごとに作られる退職年金用の個人口座と考えると分かりやすいでしょう。
AFORE口座には、労働者本人、雇用主、政府等の拠出に基づく退職関連資金が管理されます。会社を退職した場合でも、口座そのものは労働者本人に紐づいて残ります。つまり、AFOREは会社の退職金制度ではなく、労働者個人に紐づくメキシコの社会保障制度上の資産です。

外国人はAFOREを引き出せるのか

外国人労働者がメキシコで勤務した後、メキシコを離れる場合、AFORE口座に残っている資金の返還を求めることがあります。この場合に重要なのは、年金を請求しているのか、単にAFORE口座にある資金の返還を求めているのかを区別することです。
年金受給権そのものを争う場合には、IMSSの年金付与または年金否認に関する証明が問題となることがあります。一方、すでにメキシコに居住していない外国人が、年金ではなくAFORE個人口座の資金返還のみを求める場合には、この証明が必ずしも必要ではないと判断される可能性があります。これは、外国人労働者にとって重要なポイントです。メキシコで老後の年金を受け取る予定がない場合、AFOREは「年金をもらうための制度」ではなく、メキシコ勤務中に積み立てられた資金をどう回収するかという実務的な問題になります。

死亡した場合、AFOREやInfinavit(住宅関連資金)はどうなるのか

AFOREに関連して、見落とされやすいのが死亡時の取扱いです。労働者が亡くなった場合でも、AFOREやInfonavitアカウントに残っている資金が当然に消滅するわけではありません。法定受益者が必要な書類を整えれば、返還を請求できる可能性があります。特にInfonavitアカウントについては、亡くなった労働者の法定受益者が返還請求できる制度があります。対象となる可能性があるのは、配偶者、16歳未満の子、内縁の配偶者、また一定の場合には経済的に扶養されていた親などです。この点は、メキシコ人家族を持つ日本人、またメキシコで長く勤務する日本人にとっても重要です。

Fondo de Pensiones para el Bienestarに移った資金

近年、一定の条件を満たす未請求資金がFondo de Pensiones para el Bienestar(*1)へ移管されるケースがあります。ここで誤解されやすいのは、「基金に移ったらもう戻らないのではないか」という点です。実際には、Infonavitアカウントに関する資金は、移管後であっても本人または法定受益者が請求できる可能性があります。また、これらの資金は時効で消滅するものではないとされています。死亡した労働者の家族が請求する場合には、CAPDE(*2)での手続が必要となることがあります。必要書類としては、請求者の公的身分証明書、CLABE付き銀行口座明細、亡くなった労働者のCURP、受益者であることを示す年金決定書または受益者認定書、AFOREの最終残高通知などが想定されます。

 (*1)2024年に創設された年金補完基金。一定の未請求資金が移管されることがありますが、本人または法定受益者は後日請求できる可能性があります。
(*2) 年金受給者や返還手続に関するInfonavitの窓口。Fondo de Pensiones para el Bienestarへ移管された資金の返還手続などで利用されます。

企業側で確認しておきたいこと

日系企業では、駐在員の帰任時や従業員の退職・死亡時に、AFOREやInfonavitについて問い合わせを受けることもあるかと思います。AFOREやInfonavitは会社が直接返金する制度ではありませんが、従業員のNSS(社会保険番号)、CURP(個人識別番号)、IMSS登録期間、雇用期間、AFORE情報などは、本人や遺族が手続を進めるうえで重要な手掛かりになります。退職・帰任時のチェックリストに、AFOREとInfonavitの確認を入れておくと、後日のトラブル防止につながります。

まとめ

AFOREは、メキシコで働く労働者の退職資金を管理する重要な制度です。日本人にとっても、IMSSに登録されて勤務していた場合には関係します。帰任・退職時には、AFORE口座の有無、残高、NSS、CURPを確認しておくことが望まれます。また、一括引出し時にはISR源泉税の取扱いにも注意が必要です。さらに、死亡時にはAFOREやInfonavitの資金が残っている可能性があり、法定受益者が請求できる場合があります。特にInfonavitアカウントやFondo de Pensiones para el Bienestarに移管された資金については、「知らなければ請求しないまま終わってしまう」可能性があります。
AFOREは単なる年金制度ではなく、メキシコで働いた履歴に基づく個人資産の一部です。駐在員、現地採用者、そして日系企業の管理部門にとって、退職・帰国・相続の場面で確認すべき項目といえます。

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本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

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