メキシコにおける労働者利益分配金(PTU)のあらまし
はじめに
お世話になっております。Asia Alliance Partner México です。最近、労働者利益分配金(Participación de los Trabajadores en las Utilidades de las Empresas; 以下PTU)についてご相談いただくことがよくあ
り、ニュースレターの形でまとめさせていただきましたので、お役立ていただけますと幸いです。期末処理等で忙しくされているかと思いますが、少々お付き合いください。
PTU とは
PTU とは、労働者への利益分配金のことを指します。会社利益の一部は労働者の貢献によって生み出されたという考え方の基で制定されており、メキシコ合衆国憲法にて労働者の権利として規定されています。
PTU の対象範囲
法人あるいは個人に対し労働力を提供し賃金を得ているすべての労働者がPTUの対象となります。一方、代表取締役(director)、取締役(administrator)、部長(Generalmanager)、出資者や株主は対象外です。ほかにも、労働期間が一年のうち60日以下の一時雇用者、顧問契約等の会社との雇用関係がない専門家や技術者、雇用契約のない清掃員等(domestic worker)も対象にはなりません。
PTU 支払いが不要なケース
また、以下の場合もPTUの支払いは不要と
なっております。
- 設立一年以内の新設会社
- 新製品の開発に携わる設立二年以内の新会社
- 探査期間中の天然資源開発に従事する新設会社(採掘開始とともに支払免除は終了)
- 非営利団体
- 社会保険機関及び文化・福祉等に関わる地方団体機関
PTU の支払期限
PTU の従業員への支払期限は法人所得税申告から60日以内と規定されています。現在の申告期限は法人で3月末、個人事業主で4月末となっておりますので、日系企業様の PTU 支払期限は5月末となります(個人事業主の場合は6月末)。
PTU の計算及び支払上限(2021 年 4月24日以降)
続いて PTU の計算について紹介します。Comisión Nacional が比率を決定しており、現時点では会社の課税所得の10%がPTUの原資となります。各従業員の年度内の就労日数とベース給与額を基に従業員に分配されます。
通常の計算は以下の2ステップです。
① 10%の半分、つまり課税所得の5%は各従業員の給与額を加味せず、年度内の就労日数のみ考慮して均等に分配する。
② 残りの半分、課税所得のもう5%はベース給与額を基準として分配する。
上記①と②を合計した額が各従業員へのPTU 支払額となります。
2021 年 4 月 23日付け(4月24日施行)の連邦政府官報により、新しく PTU に支払上限が設けられました。従業員の給与3ヶ月分か直近3年間の PTU 平均額の大きい方(従業員にとって有利な方)が上限となります。これまで従業員数が限られており、かつ大きな利益が出ている会社では各従業員への PTU 金額はかなりの額に上っておりましたが、これに制限がかけられる形となりました。
この上限設定は2022年5月末が支払期限となる企業の PTU から適応となりますのでご注意ください。概要を説明いたしますと、通常計算額、月給3ヶ月分の金額、直近3年間のPTU 平均額の3つを算出し比較しなければならなくなっております。事業主様によって対応が異なってきますので、お困りの際は弊社までご相談ください。場合によっては、法律事務所への相談をご提案させていただく可能性もございます。
未払い時の罰則金
法人・個人事業主ともにPTUが期限内に支払われなかった場合、罰則金が課せられる可能
性があります。罰則金額はメキシコ最低賃金の250 倍~5000 倍、MX $43,218~MX$864,350(約US $2000~US $43,000)の支払いが課せられる恐れがあります。
関連法規
〈メキシコ合衆国憲法〉“Constitución Política de Los Estados Unidos Mexicanos” Artículo 123, Apartado A, Fracción IX
〈労働法〉“Ley Federal del Trabajo” Capítulo VIII, Artículos 117 al 131, 994
〈所得税法〉“Ley de Impuesto Sobre la Renta”
〈連邦政府官報〉“Diario Oficial de la Federacion: 23.4.2021”
おわりに
今回、第1号ということでPTUについて情報を発信させていただきました。今後も定期的にホットなテーマについて発信していきたいと考えております。他にも「あの制度についてもう少し詳しく知りたい!」といったご要望等がございましたら、次号以降のテーマとして検討させていただきますので、本稿記載の連絡先までご連絡ください。
それでは、体調を崩されぬよう、どうぞお体をご自愛下さい。
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