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従業員給与の損金不算入

2024.02.09
会計・税務
Mexico

はじめに

 いつも大変お世話になっております。Asia Alliance Partner Mexicoです。今月のニュースレターでは、従業員給与の損金不算入項目について発信します。

従業員所得における非課税枠

 雇用者が勤め先から受け取る報酬には、給与、超過勤務手当、福利厚生等様々な種類がありますが、表1の通り報酬項目によっては個人所得税に非課税枠が設けられています。非課税枠計算基準にメキシコ経済単位のUMAが用いられています。UMAは毎年更新されるため、非課税額も毎年変更となるので実務上注意が必要です。超過勤務手当及び企業積立金については、少し細かい規定が設けられております。

表1 従業員所得における非課税枠

報酬項目非課税枠
基本給
賞与等
超過勤務手当全額(最低賃金労働者)
半額(上記以外)
日曜出勤手当1UMA* 1/回
有給補助15UMA
企業積立金規定額*2(別途規定あり)
クリスマスボーナス30UMA
PTU15UMA
*1)2022年度UMA 96.22/日
*2)従業員月給の13%及びMonthly UMAの1.3倍額を超過しない額

図1 メキシコ経済単位のUMA

超過勤務手当の非課税枠

 メキシコにおける超過勤務は週に3回、1日あたり3時間を超えない範囲までと規定されています。週9時間までの超過勤務は給与2倍相当手当の対象となります。また、週9時間を超えた超過勤務は給与3倍相当手当の対象となる他、労働法基準時間を超過するため当局の監査が入った際は罰金が課せられる可能性があります。
 非課税枠に関しては、週9時間までに限りますが、最低賃金労働者は全額、それ以外の労働者は半額が非課税となります。週9時間を超える、つまり給与3倍相当の超過勤務手当については賃金水準に関わらず課税所得となります

企業積立金の非課税枠

 企業積立金は従業員全員が対象であること、雇用主と雇用者の毎月の積立額が同額であることが非課税枠適応の条件となります。また、雇用主積立金は雇用者月給の13%或いはMonthly UMAの1.3倍額を
超過しない額まで非課税枠と認められます。例えば、雇用主積立金は雇用者月給13%を超えないもののMonthly UMA1.3倍額を超過する場合、その差額は個人所得税の課税対象となるということです。

従業員給与の損金不算入

 これまで従業員の個人所得税への影響について説明してきましたが、ここからが会社に影響する話です。前述の従業員への非課税報酬ですが、それを支払うのはもちろん会社です。その会社支出の非課税報酬総額の47%或いは53%が税務上損金不算入となります。前年度と本年度の従業員への総報酬に占める非課税所得の比率を算出し、本年度比率が前年度比率を上回る場合は47%、逆であれば53%の損金不算入比率が適応されます。表2の例をとって説明します。まず、2020年と2021年の従業員給与を課税額と非課税額に分け、合計額を出します。そして各年度の非課税額を総所得額で割って非課税所得比率を導き出します。この例では、本年度比率の方が高くなっているため、損金不算入比率は47%が適応されます。よって、2021年従業員非課税報酬MX$7,000に47%を掛けたMX$ 3,290が損金不算入となります。会計上このMX$ 7,000は給与として費用計上されますが、税務上その内MX$ 3,290は損金否認されることとなるため、会計上と税務上の数値に差異が発生することになります。

2020年

No.課税非課税総所得
従業員A20,0001,00021,000
従業員B30,00050030,500
従業員C25,0003,00025,800
合計額75,0004,50077,300

2021年

No.課税非課税総所得
従業員A22,0002,00024,000
従業員B31,0004,00035,500
従業員C26,0001,00027,000
合計額79,0007,00086,000
年度非課税総所得非課税所得比率
2020年4,50077,3005.82%
2021年7,00086,0008.14%

2020年<2021年⇒損金不算入割合 47%
2020年>2021年⇒損金不算入割合 53%
MX$ 7,000 x 47% = MX$ 3,290

おわりに

 今回、従業員給与の一部が会社の損金不算入となることについて紹介しました。損金不算入の規定は多岐に渡るため、今後もテーマ毎に紹介していきたいと思います。

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

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