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移転価格税制のあらまし

2024.05.03
会計・税務
Mexico

移転価格税制とは

移転価格税制とは国をまたぐ利益移転の防止のために設けられた税制度です。国外に子会社や関連会社を持つ会社が関連会社間取引金額を自由に設定できてしまうと、各国は税収を確保するのが難しくなります。関連会社間取引価格も独立企業間取引、英語では”Arm’s length transactions”、の価格と同水準であるべきという考えに基づいています。
日本を始め、アメリカや中国でも適用強化が進んでいる移転価格税制ですが、メキシコにも存在しています。日本の親会社等と取引がある日系進出企業は、特に注意が必要です。一定規模以上の収益を出している会社は移転価格スタディを実施し、年次税務申告と合わせて移転価スタディ結果を国税庁に提出しなければなりません。同義務が満たされないまま国税庁のレビューが入り、利益調整の指摘を受けた場合、追加徴税、未払税額への利息、罰金が課せられます。また、日系メキシコ子会社から日本の親
会社等への支払いは損金不算入とされる可能性もあります。税務当局が注視するのは、日系進出企業の場合であれば、日本の親会社の利益が不相当に高く、メキシコ子会社利益が不相当に低くないかという点です。一度その視点で自社の取引を鑑みていただくのもよろしいかと思います。

移転価格スタディ

移転価格スタディとは、簡単に言うと関連会社間取引価格と非関連会社間取引価格を認められた方法によって比較するものです。OECDが公表した国際移転価格ガイドラインがあり、メキシコでも採用されています。移転価格計算には複数の方法が認められており、独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、利益分割法、取引単位営業利益法などがあります。独立価格比準法が優先的に適応されますが、独立価格比準法の適応が適切でない場合、その他の方法が用いられます。

移転価格税制の適応企業

メキシコでは、企業の1事業年度における収益が1300 万ペソを超える或いは専門サービス収益が 300 万ペソを超える場合、年次税務申告と合わせて国税庁に移転価格スタディを提出する義務があります。一方、関連会社間取引があったとしても、収益基準を下回る場合は独立企業間原則に則って取引が行われたことを示す移転価格スタディの提出は求められません。また、移転価格スタディの保管期間は5年、毎年移転価格調査の上、提出が必要です。

移転価格税制の適応取引

前項では単純化のため、親会社子会社間取引と説明しましたが、厳密にいうと、株式持分による支配関係はもちろん、役員派遣等で実質的に支配関係にあり、取引価格を自由に設定できる場合、その取引は移転価格スタディの対象となります。日本では原則、国外関係者との取引が対象となりますが、メキシコでは国内外関係者双方との取引が対象となります。

関連法規

〈所得税法〉第179条~第184条
〈連邦政府官報〉2021年11月12日付

おわりに

今回は省略しましたが、繰延欠損金及びCUFIN(税務上の利益剰余金)にもインフレ調整が入ります。科目や状況により参照するインフレ率が異なりますが、現在のところメキシコのインフレ率は会計上の調整が必要な水準までは達していないため、各社様の財務諸表への影響はないかと思われます。一方、税務上の調整は必要になりますので、国税庁への税務申告の際にはお気を付けください。

お問い合わせ

Asia Alliance Partner México S. de R.L. de C.V.
メキシコ事務所責任者:加村 博彦
メール:kamura@aapth.com

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