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メキシコでの「実質的支配者」報告義務に関する法的リスクについて

2025.06.19
会計・税務
Mexico

実質的支配者の報告義務が本格化

メキシコでは、2022年の連邦税法(Código Fiscal de la Federación)改正により、「実質的支配者(Beneficiario Controlador)」に関する報告義務が企業に課されました。
 この制度導入から約3年が経過した現在(2025年)、メキシコ税務当局(SAT)はようやく本格的な調査を開始しています。
 本制度の目的は、法人や信託などの背後にいる実際の個人を把握することで、マネーロンダリングや不正取引を抑制することにあります。
 当局は法人に対して、各法人の実質的支配者の特定と個人情報の具備を義務付けています。実質的支配者がメキシコ国外在住で外国人の場合は、その国で発行する書類に加えて、アポスティーユ認証やメキシコでの文書公証化及びメキシコにおける認定翻訳者の翻訳をつけて、当局の調査に備えなければなりません。

実質的支配者(Beneficiario Controlador*1とは

「実質的支配者」とは、単に株主であるというだけでなく、以下のような方法でも該当する場合があります。

取締役の選任・解任権限の保持
議決権を通じた経営への影響力
商業上の意思決定に対する影響力
法人または法的構造(例:信託、ジョイントベンチャー)から経済的利益を得ていること
(*注1):実質的支配者(Beneficiario Controlador)
 メキシコの税法上、法人または法的構造を実質的に「支配」または「利益享受」する個人を指します。OECDのBEPS行動計画(透明性向上)にも関連。

報告漏れのリスクと罰金

もし実質的支配者を報告しない、または誤って報告した場合、実質的支配者1人あたり最大200万ペソ(約1,800万円)の罰金が課される可能性があります。
 加えて、メキシコ当局が報告を求めてきた場合、15日以内という極めて短い期間での報告義務を設定していることも大きなリスク要因です。

形式的な書類準備だけでは不十分

税務上のリスクを回避するためには、単に実質的支配者の情報を収集・保存するだけでは不十分です。
 実際には以下のような内部統制措置も必要とされると考えます。

実質的支配者の宣誓書(*注2)の取得
支配関係に関する詳細な台帳の作成
社内のポリシーや手続きの整備
継続的な情報更新の体制構築

(*注2):宣誓書(Declaración Jurada)
 実質的支配者であることを当人が法的に認める書面。虚偽記載は罰則対象。

対応準備

メキシコ政府においてこの制度は、グローバルなコンプライアンス強化の一環として、今後さらに厳格に運用されていく見通しです。
 当該報告義務が法制化されてからメキシコ当局は当該内容の調査に本格的に入る可能性があります。各会社でご検討され情報確認と体制整備を進められることを強く推奨いたします。

 本件に関し、情報収集・報告義務の整理・対応体制の構築などについて支援が必要な場合は、当社としては対応できる法律事務所のご紹介をさせていただきサポートさせていただきます。

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。

また、法令の改正や制度変更等により、本記事の内容が将来において必ずしも適用されない場合がありますので、あらかじめご了承ください。

なお、本記事の内容の無断転載・無断使用はご遠慮ください。