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メキシコ会計税務ハイライト 【マネーロンダリング防止法(*1)の改正】

2025.09.02
会計・税務
Mexico

マネーロンダリング防止法(*1)の改正

(*1)LEPIORPI / LEY FEDERAL PARA LA PREVENCION E IDENTIFICACION DE OPERACIONES CON RECURSOS DE PROCEDENCIA ILICITA)

1改正の背景

2025年7月16日付で、「連邦防止・特定資金洗浄法(LFPIORPI)」の改正が官報にて公布され、翌日から施行されました。
 この法律は、いわゆる「マネーロンダリング防止法」に相当し、企業活動に伴う「Actividades Vulnerables(特定リスク取引)」に関する規制を強化するものです。多くのメキシコ法人においては、資本金の増資・減資、株式譲渡、株主変更、会社設立や合併・分割などが当該特定リスク取引にあたるものです。

2. 法人(Sociedades Mercantiles)の新たな義務

今回の改正により、株式会社・合同会社などのメキシコ法人は以下を義務付けられました。

  • 実質的支配者(Beneficiario Controlador, BC)の特定と報告
    当局の求めに応じて、誰が真の支配者か(最終的な株式所有者や意思決定者)を特定・立証する。株式や持分の譲渡、資本増減、合併・分割等の際には、会社の株主名簿に基づき、経済省が定める電子システムに報告する必要があり。(新設:LFPORPI 33 Bis, 33 Ter)
  • 当局による監査・検証の強化
    財務省(SHCP)は、書面要求や検査訪問を通じて履行状況を確認可能。対象となる取引:代表権権付与、会社設立、資本変動(増資・減資)、合併・分割、株式売買など。

3. 公証人(Fedatarios PúblicosNotarios y Corredores)の義務

  • 財務省(SHCP)への通知義務
    公証人は、会社設立、資本増減、合併・分割、株式売買といった「特定取引」があった場合、必ず当局に通知する必要あり。(LFPORPI 17, fracc. XII)。
    実務的には、資本増資・減資や株主変更の際に、公証人経由で自動的に当局に情報が届く仕組みとなる。

4. 今後の見通し

財務省(SHCP)は税務署(SAT)の意見を踏まえ、12か月以内に改正後の一般規則を公表予定。
企業・公証人双方の運用ルールが追加的に明確化される見込み。

5. メキシコ法人への影響と留意点

  1. 実質的支配者(Beneficiario Controlador)の管理強化
    日本の親会社・個人株主がメキシコ子会社の最終支配者に該当する場合、その情報を正確に電子登録する義務がある。
    登録不備や虚偽申告は、多額の罰金や刑事責任につながるリスクあり。
  2. 株主異動・増資の際の新手続き
    これまで社内株主名簿の管理で済んでいた事項も、必ず経済省システムに報告が必要。
    今後の資本政策では、本社・現地・公証人間での情報共有が必須。
  3. 公証人による当局通報の強化
    公証人を通す取引は必ずSHCPに報告されるため、透明性が飛躍的に高まる。
    従来の「社内処理のみ」の感覚は通用せず、各取引が自動的に政府の監視下に入る点に注意が必要。

6. まとめ

今回の改正は、実質的支配者(Beneficiario Controlador)制度の強化と公証人を通じた通報制度の拡充が中心であり、在メキシコ日系企業のコーポレート・ガバナンスに直接的に大きく影響します。

株主異動や資本増資を予定している企業は、事前に当局報告・システム登録を含めたスケジュール管理が必要です。
内部コンプライアンス文書(株主名簿、実質的支配者台帳など)も整理し、当局の検査に耐えられる体制を整えることが推奨されます。
<参考>2025年7月16日付官報(Diario Oficial)
 https://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/legis/reflxvi/decreto_05_16jul25.pdf

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