インドネシアにおけるロイヤリティの取扱と留意点
ロイヤリティとは
特定の権利を利用する利用者が、権利保持者に対して支払う対価を指し、著作権、商標権、特許権などの知的財産権が該当します。
製造業の場合ですと、製造技術の特許やブランド名といった商標などもロイヤリティに当たります。
支払時の税金について
ロイヤリティ契約を結び、支払をする場合には源泉税の対象となります。
国内居住者に対する支払には第23条源泉税(PPh23)が対象となり、ロイヤリティ金額に対して15%が課せられます。
国外居住者に対する支払には第26条源泉税(PPh26)が対象となり、ロイヤリティ金額に対して20%、居住者証明書を所轄の税務署に提出することで、租税条約による優遇税率(日本の場合10%)として扱います。
税務調査におけるロイヤリティの費用否認
インドネシアにおいて、ロイヤリティの支払は損金算入可能です。
しかしながら、税務調査を経て損金算入否認される例が多く見受けられます。
損金算入を満たすチェックポイントは主に2点あります。
- ロイヤリティ費用が税務規則ガイドラインの条件を満たす
- 国外居住者である関係会社間への支払時に、ロイヤリティの対価性・料率などが公平であり移転価格税制の条件を満たす
※税務規則ガイドラインは2010年租税総局長令43号(PER – 43/PJ/2010/Pasal 17)にて掲載されており、以下の3項目を満たすことで、サービスフィーが公平・公正な取扱いを受けていると規定しております。
- サービス実施の事実があること
- 商業的や経済的な恩恵があること
- 取引フィー料率が独立企業間と同等であること
サービス実施の事実について
ロイヤリティに関する種類・ライセンス料率・支払方法などを記載した、ロイヤリティ契約書の記述が十分であるかが論点となります。
日本語と英語、または日本語とインドネシア語の二か国語にて契約書を準備しておくことが推奨されております。
商業的や経済的な恩恵について
製造業の場合、特許や技術ノウハウに基づく製造工程が営業利益に適切に反映されているかが論点となります。
例えば、進出初年度などは多くの諸経費が発生し、営業利益が赤字となるケースが多いですが、税務調査官によってはこれらの赤字を根拠に商業的・経済的恩恵を否認しようと試みるケースがあります。
このような事態を想定し、現場を熟知しているローカルスタッフと日頃からコミュニケーションを取ることで、製造工程の内情を日本人の取締役自身が把握しておくことも重要です。
取引フィー料率が独立企業間と同等であることについて
こちらの要件は移転価格税制と密接に関係しており、独立企業間価格に基づくフィー料率であることを証明可能かが論点となります。
インドネシアにおける移転価格文書の作成義務条件は以下の通りとなります。
- 前年度の総収入額500億ルピア超
- 前年度の関連者間取引における有形資産取引額200億ルピア超
- 前年度の関連者間取引における無形資産取引額50億ルピア超
- インドネシアより低法人税率に所在する関連者と取引を行っている
上記に該当する企業では、移転価格文書内にてロイヤリティの説明を行っているため、それを基にすることで税務調査官に対する説明は容易となります。
対して、移転価格文書作成の対象外である企業では、ロイヤリティの基となる無形固定資産の実在を示す必要があります。
合理性に対する根拠を明記した反論根拠となる資料(ロイヤリティの種類・料率算出方法を明記したロイヤリティ契約書、関連者間取引に係る契約書、価格決定のメカニズムに関する資料)を準備しておくことが必要となります。
インドネシアにおける税務調査の頻出否認ケースに挙げられるロイヤリティですが、事前資料の準備を綿密に行うことで、リスクを可能な限り減少させることができます。
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