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インドネシアにおけるLKPM(投資活動報告書)について

2025.05.07
会計・税務
Indonesia

LKPMとは何か?インドネシア投資法における報告義務

LKPM(Laporan Kegiatan Penanaman Modal)は「投資活動報告書」を意味し、インドネシアに進出する企業に課される定期報告制度です。
特に外国資本が1%でも入る企業(外資系のPMA法人)は、インドネシア投資庁であるBKPM(投資調整庁)への四半期ごとの活動報告が義務付けられています。
この報告義務はインドネシア投資法(2007年法律第25号)およびBKPMの関連規定によって定められており、企業の投資状況を政府が監督・把握するための重要な制度です。
報告内容には会社基本情報や投資実施額、従業員数、事業の進捗状況(生産・販売状況など)、企業の社会的責任(CSR)活動状況、直面している課題等が含まれます。

LKPM報告義務の対象:提出が必要な企業と条件 – LKPMの提出義務が課されるのはどんな企業か? 

大きく分けて、外国資本を含む全ての現地法人と、一定規模以上のインドネシア内資企業が対象となります。
外資系企業(PMA)はすべてLKPM提出対象であり、インドネシア現地法人で事業を行っている場合は原則として報告義務が発生すると考えてよいでしょう。
一方、インドネシア資本100%の内資企業(PMDN)でも、投資額が10億ルピア(約900万円)を超える事業者はLKPMをオンライン提出するよう義務付けられています。

LKPMの報告頻度と提出期限(四半期ごと)- 報告頻度はどれくらいか? 

多くの企業にとって、LKPMは四半期ごと(3ヶ月ごと)に提出する定期報告です
各四半期終了後の翌月1日から10日までが提出期間と定められており、例えば1~3月期の報告は4月10日まで、4~6月期は7月10日まで、7~9月期は10月10日まで、10~12月期は翌年1月10日までに提出する必要があります。
報告期間の最終日が週末や祝日に当たる場合でも、基本的には翌月10日が締切日となる点に注意してください。

なお、2021年の制度改正(いわゆるオムニバス法による許認可制度の変更)により、企業規模に応じた報告頻度が導入されています。
具体的には「中規模・大規模事業者は四半期ごと」、一方「小規模事業者は半年ごと(年2回、各上期・下期)」のLKPM提出が認められています。
小規模(インドネシアの区分で「事業規模小」)に該当する企業は1~6月分を7月10日まで、7~12月分を翌年1月10日までの半期報告となります。
もっとも、外資企業は中規模以上に分類されるため、実務的には四半期ごとの報告義務と考えて対応するのが無難です。
締切日を過ぎてしまうとシステム上受付ができなくなる恐れがあるため、余裕をもって準備しましょう。

LKPMの提出方法:OSSシステムによるオンライン手続き – どうやってLKPMを提出するのか? 

インドネシア政府は事業許認可の手続きを一元管理するオンラインサービスOSS(Online Single Submission)を提供しており、LKPM報告もこのOSSシステム上で電子的に提出します。
まず企業はOSSポータル(https://oss.go.id)にログインし、「Pelaporan LKPM(LKPM報告)」のメニューから当該期間の報告フォームにアクセスします。以下に一般的な手続きフローを示します。

  1. 事前準備: OSSのユーザーID・パスワードを用意し、報告に必要なデータ(当期の投資額、従業員数など)を整理しておきます。必要に応じて事前にOSS上で会社情報や事業分野(KBLI)の登録内容が正しいことを確認してください。
  2. OSSへログイン: 会社アカウントでOSSシステムにログインし、ダッシュボードから「投資活動報告(LKPM)」のページを開きます。
  3. 報告内容の入力: 画面の指示に従い、報告対象期間を選択して所定の項目を入力します。通常、四半期ごとの追加投資実績額、累計の投資額、期中に新規採用した従業員数や減少した従業員数、現在の事業段階(建設中か商業運転中か)、生産量や売上高(商業運転段階の場合)、さらには事業実施上の問題点や課題(あれば)等を報告します。各項目について該当がない場合は「0」や「該当なし」といった形で入力します。
  4. 内容の確認と送信: 入力内容を確認し、問題がなければOSS上で送信します。送信後、システム上で受領証(Tanda Terima)をダウンロードまたは印刷できます。これは当局が報告を受領したことを示す証明になりますので、社内で保管しておきましょう。

報告はOSSに直接データを入力する形で行われ、紙の書類提出は不要です。
もし事業分野を複数持つ場合(異なるKBLIコードの事業を複数展開している場合)は、それぞれの事業ごとにLKPMを提出する必要があります(OSS上で事業分野ごとに報告フォームが分かれています)。
OSSは基本的にインドネシア語表示ですが、入力項目は決まったフォーマットの数値や選択肢中心のため、ガイドに沿って進めれば対応可能です。
不明点がある場合はOSSのヘルプデスクや各州の投資局窓口で問い合わせもできます。

LKPM未提出の場合の罰則とビジネスへの影響 – 報告を怠ったらどうなる? 

LKPMを期限までに提出しない場合、法令に基づき行政処分(ペナルティ)の対象となります。
具体的には、3期連続(3四半期連続)で未報告となった事業者に対し、OSSを通じて最大3回の書面警告(警告状)が発行されます。
警告後も30日以内に是正(報告提出)がなされない場合、最終的に事業許可(営業許可/NIB)の停止・取消といった厳しい処分が科される可能性があります。
2017年に定められたBKPM長官令第13号・14号によって、この警告・取消しのプロセスが明文化されており、それ以前には明確な罰則規定がなかったLKPM制度が現在は強制力を持つ運用となっています。

また、実際に警告書を受けなくても、LKPM未提出の企業はOSS上で「コンプライアンス評価」が低下する仕組みになっており、当局から要注意と見なされることで新規の許認可申請時に不利益を被る可能性が指摘されています。
例えば追加投資の許可申請や各種証明の取得がスムーズに行かなくなる、優遇措置の対象から外れる等のリスクがあります。
さらに、報告が適切に行われていない状態ではOSS上で企業のNIB(事業者基本番号)が一時停止扱いとなり、輸出入許可や税務関連手続きなどビジネスに支障をきたす場合もあります。
実務上も、過去に遡ってまとめてLKPMを提出しようとしてもBKPMに拒否されるケースが増えており、未報告のまま放置することは非常に危険です。
定められた期限ごとに確実にLKPMを提出し、コンプライアンスを遵守するようにしましょう。

LKPMに関するよくある質問(FAQ)

Q1: 該当四半期に新たな投資をしていない場合も報告は必要ですか?

A1: はい、必要です。 投資実績が「ゼロ」の場合でも各報告期間ごとにLKPMを提出しなければなりません。OSS上で追加投資額を「0」と入力する形で報告します。それにより「今期は投資実施なし」という情報も正式に記録されます。未実施だからといって未提出で済ませることはできないので注意してください。

Q2: インドネシアの駐在員事務所(代表事務所)にもLKPM提出義務はありますか?

A2: いいえ、ありません。 駐在員事務所(Representative Office)は市場調査など連絡拠点であり、直接の投資(Penanaman Modal)を行う事業体ではないためLKPM制度の対象外です。LKPM報告義務が課されるのは、インドネシアで法人格を持ち事業許可を受けた会社(PT)に限られます。したがって、駐在員事務所にはLKPM提出は求められません。

Q3: 当初計画していた投資額をすでに達成済みの場合でも報告は必要でしょうか?

A3: 計画達成後も報告義務は継続します。 たとえ当初の投資目標額を既に満たしていたとしても、規定の頻度でLKPMを提出し続ける必要があります。報告を怠ると当局のデータ上は投資実績が記録されないため、投資未達と見なされ追加投資を再度求められるリスクすらあると指摘されています。完了したプロジェクトであっても正式に終了手続きを取らない限り報告義務は残りますので、ご留意ください。

Q4: OSSでの入力方法が分からない、またはシステムエラーが出た場合はどうしたらいいですか?

A4: OSSシステムの画面上部に「ヘルプ」や「FAQ」メニューがあり参照できます。それでも解決しない技術的問題がある場合は、OSSのヘルプデスクに問い合わせるか、BKPMもしくは地域の投資窓口(DPMPTSP)に相談しましょう。OSSは度々システム改修やバージョンアップが行われており、その際に画面仕様の変更や不具合が発生する例も報告されています。そのため、期限間近になって慌てることのないよう早めに着手し、エラーが出た場合は時間をおいて再試行する、必要に応じブラウザを変えてみるなどの対処も有効です。どうしても報告が送信できない場合は、締切前に当局へ状況を伝えて指示を仰ぐことをおすすめします。

LKPM報告の実務上の注意ポイント

最後に、LKPMを適切に提出するための実務上のポイントをまとめます。

提出期限を確実に管理: 四半期ごとの締切日(各四半期翌月10日)をカレンダーに記載し、期限前にリマインドを設けましょう。特に年初や休暇シーズン明けの1月10日締切は忘れやすいので注意が必要です。

早めの準備と二重チェック: OSSシステムは度重なるアップデートで画面仕様が変わったり不安定になることがあります。締切直前ではなく余裕を持って入力作業を行い、入力ミスやエラーがないかダブルチェックしましょう。必要に応じてスクリーンショットを保存するなど記録も残しておくと安心です。

OSSアカウント情報の管理: OSSのログイン情報(ユーザー名・パスワード)は社内で適切に管理し、担当者変更時には引き継ぎ漏れがないようにします。万一パスワードを失念した場合でも再発行手続きに時間がかかることがあるため、普段から確認できる状態にしておきましょう。

提出後の受領証保管: OSSで報告送信後に発行される受領証(通知メールやPDF)を必ず保管してください。将来BKPMから提出有無の確認を求められた際や、社内監査の際に提出履歴を証明する資料となります。

報告内容の整合性確認: 報告する投資額や従業員数等は社内の財務記録や人事記録と整合しているか確認しましょう。数字の不一致があると当局から照会を受ける可能性があります。また、仮に誤った報告を送信してしまった場合は早急に当局に連絡し、訂正の指示を仰いでください。

法改正情報のフォロー: インドネシアの投資関連規制は更新されることがあります。BKPMや関連省庁から発表される最新の通達やガイドラインにも目を配り、LKPM報告ルールに変更がないか定期的に確認するようにしましょう。特にOSSシステムの仕様変更や報告様式のアップデートに関する通知は見逃さないようにしてください。

以上が、インドネシアにおけるLKPM(投資活動報告書)の概要と実務対応のポイントです。
適切にLKPMを提出することは法令順守のみならず、自社の投資活動を客観的に振り返る良い機会にもなります。
期限と手順を守り、確実な報告を続けることで、インドネシアでの事業運営を円滑に進めていきましょう。

―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。

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