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インドネシアにおける実質的支配者(Beneficial Owner)および
年次株主総会(AGMS/RUPS)に関する重要改正

2026.01.21
法務
Indonesia

2025年12月17日より、会社(PT)の設立・運営・年次報告・解散手続きを定める法務人権大臣令No.49/2025(Permenkum No.49/2025)が施行されました。
本省令は、法務人権省オンラインシステム(SABH)を通じた手続きをより厳格に管理することを目的としたもので、特に「実質的支配者(Beneficial Owner)」の把握と定時株主総会(AGMS/RUPS)後の法務人権省報告義務が明確に強化されています。
本記事では、日系企業様に影響の大きいポイントについて、実際に寄せられたご質問とその回答を交えながら解説します。

今回の改正の概要

Permenkum No.49/2025 は、PT(株式会社)および個人会社の設立・変更・年次報告・解散をSABHシステム上で一元管理・厳格化する内容となっています。
特に今回の改正では、年次株主総会(RUPS)後の報告が法的義務として明確化された点が大きなポイントです。

日系企業に影響の大きい主な変更点

実質的支配者(Beneficial Owner)の提出義務

Permenkum No.49/2025 第6条により、PT設立時の必須情報として、実質的支配者(BO)に関する情報および同意書類の提出が義務化されました。
実質的支配者とは、名義上の株主や役員ではなく、最終的に会社を支配・コントロールしている個人を指します。
確認は、以下の順序で行われます。

  1. 株式または議決権を直接または間接に25%超保有している個人
  2. 経営を実質的にコントロールしている個人
  3. 上記に該当しない場合は、代表取締役社長

この対応は、新設企業だけでなく、既存企業にも影響します。
 今後、取締役変更・再任、増資、定款変更等の登記手続きを行う際には、取締役によるBO名の宣誓書とBO本人による同意書を SABHシステムへアップロードすることが求められます。

定時株主総会(AGMS/RUPS)の公正証書化・法務人権省への報告義務化

Permenkum No.49/2025第16条・第17条により、以下の対応が法定義務となりました。

•   定時株主総会(RUPS)の決議内容を公正証書(Notarial Deed)として作成
•   承認済み年次報告書をSABHシステム経由で法務人権省へ電子提出

これまで一般的であった持ち回り決議書を作成して社内保管のみ行う対応は、今後は不十分となります。

未対応時のリスク

RUPS後の年次報告を期限内に行わない場合、書面による警告やSABHシステムへのアクセス遮断(ブロック)などの行政制裁が科される可能性があります。
SABHがブロックされると、定款変更や役員変更、増資、解散など、すべての法務手続が停止するため、実務への影響は極めて大きくなります。

施行日および経過措置(トランジションルール)
施行日:2025年12月17日

経過措置:施行日前にすでに申請済みで、現在処理中の案件については、旧省令(Permenkum No.21/2021)が引き続き適用されます。(第31条)

よくあるご質問(FAQ)

Q1.実質的支配者の提出義務はPT設立時のみで、既存企業は関係ないのでしょうか?
A1.既存企業であっても、今後登記変更を行う場合にはBO情報の提出が必要となります。

Q2.まず何から確認すればよいでしょうか?
A2.以下の2点を整理することが第一歩となります。

過去の年次総会(AGMS/RUPS)の実施状況・書類の有無
自社の実質的支配者(BO)が誰に該当するかの確認

Q3.これまで年次総会を実施していませんでした。いつまでに何をする必要がありますか?
A3.決算月から 6か月以内に、以下の手続きを完了させる必要があります。例えば12月決算の場合、翌年6月末が期限となります。

  • 決算報告書の作成
  • 年次株主総会議事録の作成
  • 決算報告書および議事録の公正証書化
  • SABHを通じた法務人権省への提出

Q4.PMA法人とPMDN法人で対応は異なりますか?
A4.法令上はいずれも対象とされています。PMA法人については対応がほぼ必須と考えられますが、PMDN法人については現時点では実務運用が不透明な部分もあり、対応しなかった場合のリスクもまだ分からない状況です。

Q5.なぜ今、実質的支配者の確認が求められているのでしょうか?
A5.これはインドネシア独自の動きではなく、FATFやG20、OECDといった国際基準に基づく世界的な流れです。
法人がマネーロンダリングや不正資金の受け皿として使われることを防ぐため、各国で「最終的な支配者の明示」が求められるようになっています。
日本を含む他国でも、すでに同様の制度が導入されています。


―免責事項―

本記事の内容は、掲載時点の法令等に基づいて作成しております。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の会計・税務・法務その他の専門的助言を提供するものではありません。会計・税務・法務に関する具体的な取扱いについては、個別の状況に応じてご相談ください。

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