インドネシアの個人確定申告における扶養家族識別番号(NIP)の登録
2025年以降、インドネシア税務総局(Direktorat Jenderal Pajak:DJP)が導入した新しい税務管理システム「Coretax」において、扶養家族の登録に関する運用が明確化されました。
本稿では、外国人駐在員の方を含む個人所得税申告(SPT Tahunan Orang Pribadi)において重要となる扶養家族の識別番号「NIP(Nomor Identitas Perpajakan)」の登録について解説します。
Coretaxと「家族税務単位(Family Tax Unit)」
Coretaxは、インドネシアの税務行政をデジタル化するために導入された統合システムであり、税務登録・申告・支払いなどの行政手続きを一元化することを目的としています。
このシステムでは、家族を一つの経済単位として扱う「Family Tax Unit(FTU)」という考え方が導入されています。
FTUとは、世帯主とその家族を一つの税務単位として扱う仕組みであり、扶養家族に関する情報は世帯主の税務アカウントに登録されます。
また、インドネシア税務総局長規則2025年第7号(PER-7/PJ/2025)では、税務上の家族単位の登録方法や対象となる家族の範囲が定められており、一般的には以下の家族が対象となります。
- 配偶者
- 未成年の子供(実子・養子・継子を含む)
- 完全に扶養されている家族
NPWPを持たない家族には「NIP」が必要
Coretaxの運用において、NPWPを持たない家族(配偶者や子供など)を扶養家族として登録する場合、NIP(Nomor Identitas Perpajakan)という識別番号を取得する必要があることが明確になりました。
NIPは、NPWPを持たない個人を税務システム内で識別するための番号であり、Coretax上で家族を扶養家族として登録する際の識別情報として使用されます。
この制度は、税務データの正確性を高め、家族単位での所得税計算を適切に行うことを目的としています。
NIP登録に必要な資料
扶養家族のNIP登録には、通常以下の資料が必要となります。
- 被扶養者のパスポートコピー(保有していない場合はマイナンバーカードのコピー)
- 被扶養者の顔写真
- 被扶養者がパスポートの顔写真ページを手に持った状態での写真
なお、小さなお子様などで単独撮影が難しい場合には、保護者と一緒に撮影した写真でも問題ないケースがあります。
個人確定申告への影響
2025年度の個人所得税申告において、扶養控除を適用するためには、扶養家族がCoretax上で登録されていることが望ましいと考えられます。
もし扶養家族のNIP登録を行わない場合、以下の対応が考えられます。
① 確定申告時に扶養情報を修正する
扶養控除が減少するため、追加納税が発生します。
(目安:扶養1名あたり約1.35百万ルピア)
② 扶養登録を行わずに申告する
将来、税務調査等で扶養情報の不備を指摘される可能性があります。
まとめ
Coretax導入に伴い、インドネシアの個人所得税申告では、扶養家族情報の管理がより厳格になっています。
特に外国人駐在員の場合、家族がNPWPを保有していないケースが多いため、NIPの登録手続きが実務上重要なポイントとなります。
扶養控除を適切に適用するためにも、早めに扶養家族の登録状況を確認し、必要に応じてNIP登録を行うことをお勧めします。
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