インドネシアの各種税金における暫定(簡易)還付制度のまとめ
個人所得税の暫定還付
2023年税務総局長規則5号(PER-5/2023)において、個人所得税の暫定還付が開始されました。
従来は個人所得税確定申告において、予納税(PPh25)の過払いが生じた場合に、確定申告の際に還付請求を申請し、税務調査を経て還付決定まで1年を要していました。
本法令によると、暫定還付の場合は税務調査を経ず、申請(原則としてSPT OP – 個人所得税確定申告書 を税務当局が受領した際に発行する受領書 = BPEの日付から起算して)から15営業日内に還付を行うと規定されています。
特に従来は長期に渡る税務調査を懸念し、本帰国時に還付請求を実施せず、税額調整を行い放棄をしていたような場合でも、とりあえず還付を実施するという手法が選択できるようになりました。
ただし、暫定還付実施後であっても1年間は税務当局は引き続き税務調査を行う権利を有しており、そこで未納・追徴の指摘を受けた場合は100%(2倍)のペナルティーを課せられることとなります。
なお、暫定還付は還付額がRp 100,000,000以下の場合のみ適用できます。
また、仮に暫定還付の適用が可能であっても、これまで通り税務調査を伴う通常還付を選択することも可能です。
今後は、個人所得税確定申告や帰任時に還付の実施是非だけでなく、還付制度(暫定・通常)のどちらを選択するかも検討する必要があります。
なお本規則は2023年5月9日から適用されていますが、2022年度の個人所得税確定申告において通常還付を選択し、税務調査が開始されていない還付については暫定還付へ切り替えることも可能です。
法人所得税の暫定還付
法人所得税の還付申請は、年次法人税の申告時に過払い(還付請求)ポジションで申告することで申請が行われます。
通常還付は、申告時から起算して12か月以内に、国税総局は税務調査を含む決定を下さなければならないと定められています。
仮に12か月以内に決定が出なかった場合は、還付申請は承認されたものと見なされます。
一方、暫定還付は還付額がRp 1,000,000,000以下の場合に適用できます。
暫定還付を実施する旨を記した年次法人税申告書を提出後、1か月以内に還付が実施されると規定されています。
ただし、暫定還付実施後であっても1年間は税務当局は引き続き税務調査を行う権利を有しており、そこで未納・追徴の指摘を受けた場合は100%(2倍)のペナルティーを課せられることとなります。
また、仮に暫定還付の適用が可能な還付額の範囲内であっても、これまで通り税務調査を伴う通常還付を選択することも可能です。
法人所得税の場合は、個人所得税やVATと比較して指摘される項目が多岐に渡り、また課税額も大きくなる傾向にあるため、安易に暫定還付を実施する100%ペナルティーによる損害を受ける可能性があるため注意が必要です。
VATの暫定還付
VATの還付申請は、通常会計年度末のみに実施できます。
還付申請後(BPE受領後)から起算して12か月以内に、国税総局は税務調査を含む決定を下さなければならないと定められています。
仮に12か月以内に決定が出なかった場合は、還付申請は承認されたものと見なされます。
一方、暫定還付は還付額がRp 5,000,000,000以下の場合のみ適用できます(PMK209/2021)。
還付申請のタイミングは通常還付と同じく会計年度末のほか、毎月のVAT申告でも暫定還付を申請することができます。
暫定還付を実施する旨を記したVAT申告書を提出後、1か月以内に還付が実施されると規定されています。
また、所得税同様に仮に暫定還付の適用が可能であっても、これまで通り税務調査を伴う通常還付を選択することも可能です。
VATの暫定還付申請には、2014年租税総局長規定25号(PER-25/2014)により、輸出・輸入申告書、売上・仕入のVATインボイス(Faktur Pajak)などの提出が必要となります。
なおいずれのケースであっても暫定還付の実施においては、過去3年間において以下のような条件を満たす必要があります。
- 年次法人税申告書の提出に遅延がないこと
- (法人の場合)会計監査を受けていること
- 未納がないこと
- 税務犯罪の係争中ではないこと
- DJP(国税総局)から優良納税者であることの証明を受けていること
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